BUMP OF CHICKENの"新世界"を通して、己の思考を引っ掻き回してみた話。

2020年8月24日。
藤原基央さんが結婚を発表した。

朝5時に目が覚めて二度寝をしようとしていた私の目に、藤くんの結婚報告のツイートが飛び込んできて、脳味噌が完全に覚醒した。枕元に居たニコルを「おま!藤くん結婚だってよ!!!」と言って揺さぶり、ホクホク顔でその後しっかり二度寝した。

この日、私の脳内には朝からずっとあの曲が流れていた。ベイビーアイラブユーだぜー!の、あの曲。
"新世界"。
BUMPを知る多くの人の頭の中に、この日は同じ曲が流れていたのではないだろうか。

そんな時に、BUMPファンの方の「"新世界"が結婚のことを唄った曲だという固定観念のもと聴かれるようになってしまうのは曲が可哀想(意訳)」というツイートを見かけた。それを見て私は、今自分の中に流れているこの曲について考えてみることにしたのだった。

この日、私が朝からずっと「ベイビーアイラブユーだぜー!」と歌っていたのは、私が世界に向けてこういう気持ちだったからである。
大好きで大切な人が幸せになるらしい!それはなんて素晴らしいことなんだろう!この世界を宇宙ごと抱きしめたい気持ちだった。
LAMP IN TERRENの松本大さんがワンマンライブ『Bloom』で、"オーバーフロー"という曲の前に言い放った「あなたたちが生まれてきたこの世界にすらも愛を込めて」という言葉。この日の私の心は、これに近いような気がしている。藤くんが幸せになる報告をしてくれたおかげで、世界がなんでこんなにも美しいのか分かったから、こんな気持ちは今日だけだとしても、この幸せな出来事を世界ごと愛したいと思った。

"新世界"は発表された当初から「BUMPの曲としては意外だ」と話題になっており、歌詞のテイストもロッテとコラボしたMVも恋愛と結びつけられやすい内容のため、「なるほどこれは奥さんのことを歌った曲だったのか!」と多数に思われるのも無理はないのかもしれない。それが事実だとしても、はたまたそうではないにしても。
でも、その曲が作られた背景がどうであったとしても、リスナーがそこまで振り回される必要はないんじゃないかなと私は思っている。数年前、SONGSにBUMPが出演した際に
「曲は自分たちの子どもみたいなもので、"天体観測"が売れた時は我が子が表彰台に上がって褒められているのを眺める親の気持ちだった」(意訳)
と話していたことを、とても印象深く覚えている。バーンアウトの熊谷さんも、テレンの大さんも、似たようなことを話していたのを聞いたことがある。大さんのお言葉を借りると
「歌詞にした時点で生き物みたいになる」
「自分の子どもが褒められてて誇らしい気持ちになる」
「自分が生み出したという感覚は薄れて、曲が勝手に成長していく」
ということらしい。曲が作者の手を離れた瞬間から、それは一つの生命体のようになって、出逢った一人一人とそれぞれのストーリーを作るものだと私は考えている。だから、例えば作った本人の口から曲に込められた意図や裏話を聞いたとしても、自分の解釈をその方向に変える必要はないのだと思う。あなたがその曲と育んできた思い出を、その曲から受け取ってきたものを、間違いだなんて思う必要は全くないということ。聴き方はきっと自由でいい。特に藤くんなら、絶対にそう言ってくれるはずだ。

というようなことを一日中考えていたら、やはりテレンの大さんが、私の思考にやや掠っている内容のツイートをしてくれたので、リンク先で読んでいただけると嬉しい。

さて次に、これからBUMPの"新世界"という曲に初めて出逢うであろう人たちについて考えてみた。先に藤くんの結婚を知り、その後初めて曲を耳にする人。これから新たにBUMPを知る人が、ネット上に溢れかえる「"新世界"はプロポーズの曲だった!?」という記事を見たら、「"新世界"はプロポーズの曲なんだ」と思ってしまうだろうなあ。先入観無しでこの曲と出逢うことができないのは、確かに曲が可哀想かもしれないし、何より音楽体験として勿体無いなあとも思える。
ようやく「曲が可哀想」の意味を、私なりに解釈することができた。


とまあ、こんな感じでぐるぐると思考を巡らせていたわけだが、"新世界"の制作背景はさておき、こんな素敵な歌詞を書く藤くんと一緒になったお相手の方は、絶対に幸せになるだろうなということは確信している。誰目線だよとツッコまれそうな物言いですが。

なんだよそんな汚れくらい 丸ごと抱きしめるよ
ハズレくじばかりでも 君といる僕が一等賞

こういう想いを持ちながら大切な人やものに触れることができるのが藤くんなんだ、ということは、"新世界"という曲が体現しているのだから。
本当に素敵な言葉たちが詰め込まれているので、改めて"新世界"の歌詞をご一読いただきたい。藤くんは誰もが知っている言葉で、他の誰も思いつかないような文章を綴ることに長けた人だなあ、ということを実感できる。
私も大切な人を全肯定しながら生きたいぜ。藤くん、私はあなたのような人になりたい。


書けば書くほど言いたいことがよくわからなくなってきて、お後も全然よろしくないけれど、最後に一つだけ。


藤原基央さん、ご結婚本当におめでとうございます。
あなたがいつも、いつまでも幸せの中に在ることをお祈りしております。

https://youtu.be/IQOhCvlkYps