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ボツ企画 すべてのコンピュータはSoCになる

日々、企画を出して検討していると、当然のように「ボツ」になったものがあります。引っ張り出してきて眺めてみると、もったいないと思ってしまうところです。


項目出しをしている段階で、わくわくする内容

本を書く場合には、本を構成する「章」のタイトルを箇条書きにして、本のテーマを掘り下げ、話に無理がないかどうかを確認します。

1章 スパコン「富岳」ショック
「ARMで高性能コンピュータは無理」という
固定観念は日の丸スパコン「富岳」で崩された

2章 M1~前代未聞のPC用SoCの登場
RAM, GPU, Nural Engine, SSDコントローラ
などが1チップ化されたSoC

3章 SoCとは?
「バス」という仲介業者を排した
中抜きオール・イン・ワン・コンピュータ

4章 SoC「M1」の
内部に迫る
内部構造

5章 世界最強の半導体
製造パートナー
TSMC
インテルを超える半導体製造プロセスを提供する目下世界最強のファウンダリ

6 章 M1の「次」
真打ちの「ハイパフォーマンス・デスクトップ機」を作るSoCとは?

7 章 SoCによって実現される新製品
ウェアラブル・デバイスはSoCの独壇場

8章 M1後の
産業構造の変化
SoCと非SoCの性能差、電力効率の差が明確な産業構造の変化を生む

自分で出した企画の重みに耐えかねて沈没

2021〜2022年ぐらいに企画した内容ですが、企画段階ではわりといい感じの内容だったと思います。

そう、自分があくまで編集者の立場で企画して、ライター数人に執筆を依頼できる座組みなら、この企画はこれでけっこういい感じです。

しかし、自分1人で企画からデザインから執筆から何までやるとなると、内容をカバーしきれないことが明白。M1世代からM2世代に推移する前ぐらいのタイミングで出せたらいいんじゃないの? ぐらいで企画していたのですが……「次」を予測しつつも、なかなか見えませんでした。

実際に「取材」しないと書けない内容を含んでいるとか、数人でディスカッションしないと見えてこない未知の部分が大きいとか、とくにチップ設計しているわけじゃないので技術的に怪しいとかいろいろ「弱点」が露呈してしまったかっこうです。

M1世代でMac Proが出てこないことがわかって、あまり強気で話を展開できない空気があったとかいう問題はありつつも、xRヘッドセットを作るためにはSoCしかないよね的な読みは当たりつつ、10年後のガジェット界隈の構造変化とまでは言い切れない部分がありました。

Apple Silicon世代になって、拡張性が完全に断たれた「閉じた」製品になったわけで、同時に価格を引き下げて製品の陳腐化と代謝を強引に進めるつもりなのかと思っていたのですが、為替レートの変動(円安)を受けて日本市場における価格は上昇。この「安くなったから買い替え上等」なサイクルには入らなかったということもあります。

割と書籍については「言ったもん勝ち」だということは十分に理解しつつも、裏付けがないのに言い切るのは困難です。

叩き台となる表紙とトビラのデザインまでは作り込んでいたので、チーム内の会議で「ボツ」になって残念です。でもなんか、この本は読んでみたい気がします。


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