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【続】「習うより慣れろ」

 先日の記事で、ある小学校で行われた「プログラミング」の授業について書いた。

 6年生が算数の「並べ方と組み合わせ方」の学習で、プログラミング用アプリの「プロゼミ」を使ってこんな活動に取り組んでいたのだ。

メダルを続けて10回投げます。
この時、表と裏の出方には、どんな場合がありますか。
プログラムを組んで、考えましょう。

 前時までの学習では、樹形図や表を使って答えを求めていた。その発展的な学習として「プロゼミ」を用いるというものだった。

 しかし、実際にプログラミングを始めると子どもたちは「苦戦」していた。コインを投げる回数が2回目、3回目、4回目と増えるにつれて、プログラムはどんどん長くなっていく。ところが、子どもたちからは「くり返し(ループ)」のブロックを使おうという発想が出てこないのだ。

 結局、最後に教師が「くり返し(ループ)」を使ったプログラムのつくり方を実演して授業は終わり、続きは次の時間に持ち越しとなった。

 授業者によると、子どもたちが「プロゼミ」を使うのは、
「6年生になってからは初めてで、5年生の『正多角形の作図』で使って以来になる」
 ということだった。

 小学校におけるプログラミングは、各教科等の学習の「発展的な扱い」「オプション」という位置づけになっている。そのため、「プロゼミ」等の操作について知識を得たり経験したりする時間が不十分になってしまうことが、こうした子どもたちの姿に現れているのではないか。

 ・・・というのが記事の内容だった。


 この記事に関して、望月陽一郎さんからFacebookを通じて次のようなコメントをいただいた。

「まねる」「変える」「つくる」の段階を踏まえれば、思考錯誤をどこに持ってくるかも、見えてきますね。

ループについて「まねる」「変える」段階を経ていれば、いろいろな工夫が思考錯誤の場面になったはず。

 ご指摘のとおりである。本職のプログラマーだって、最初のうちは「まねる」こと、そして「変える」ことからスタートするのだ。プログラミングに関する経験の少ない子どもたちであれば、なおさらのことだろう。

 たとえば、この6年生の学習を進めるに当たって、5年生の『正多角形の作図』のときに考えたプログラムを教室内に掲示しておけば、授業の展開は変わっていたかもしれない。

 過去に自分がつくったプログラムのことを思い出し、それを「まねる」、そして「変える」という子どもたちが現れていたのではないかと思うのだ。

「プロゼミ」のスクリーンショット

 算数では、前時までの学習内容や既習事項について教室内に掲示をしておくことがよくある。こうしたちょっとした工夫が、「発展的な扱い」「オプション」としてのプログラミング教育を充実させるためには大切なのかもしれない。

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