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Say it ain't so, Ippei!(ウソだと言ってよ、一平!)

 米国メジャーリーグのロサンゼルス・ドジャースは、大谷翔平選手の通訳を務める水原一平氏を解雇したことを明らかにした。

 球団は、今のところ解雇の理由について明らかにしていない。しかし、米国の複数のメディアは20日、大谷選手の代理人弁護士が水原氏による違法賭博への関与を明らかにしたと伝えている。

 このうちロサンゼルス・タイムズは、水原氏が「ブックメーカー」と呼ばれる違法な賭け屋に投じる資金として、大谷選手の資金を「大規模に盗んだ」としている。また、スポーツ専門チャンネルのESPNは、大谷選手の口座からこの「ブックメーカー」に対して450万ドル、日本円でおよそ6億8000万円が送金されていたと報じた。

 昨晩、韓国で行われたドジャースの開幕戦で、大谷選手が2安打・1打点・1盗塁の活躍をした余韻が冷めやらぬ中でのこのニュースである。衝撃は一段と大きい。

 水原氏は、2017年に大谷選手がロサンゼルス・エンゼルスに移籍するのに伴い、その専属通訳となった。その後は通訳だけでなく、運転手やキャッチボールの相手、そしてよき理解者として大谷選手を支えてきたことで知られている。

 それだけに、私のような部外者であっても「裏切られた」という思いが強い。


 今から100年以上前の米国メジャーリーグに、ジョー・ジャクソンという俊足巧打の外野手がいた。彼はマイナーリーグ時代に、新しいスパイクが足に合わずに肉刺(まめ)ができてしまったため、スパイクを履かずに靴下のままプレイをしたことから、「シューレス・ジョー(Shoeless Joe)」という愛称で親しまれていた。

 しかし、1919年のワールドシリーズで、ジョーが所属するシカゴ・ホワイトソックスが八百長をはたらいたという嫌疑により、彼を含む8人の選手が球界から永久追放の処分を受けたことで、その野球人生は突然に終わりを迎えることになる。

 8人の中でもっともファンから愛されていたジョーが、大陪審の法廷で八百長を認めて裁判所から出てきたとき、外には大勢のファンが集まっていたという。その中にいた一人の少年が、
「ウソだと言ってよ、ジョー!」("Say it ain't so, Joe!")
 と叫ぶ場面は、数々の映画などで再現されている。


 私はとっくに少年ではないが、水原氏に関する報道に接して、
「ウソだと言ってよ、一平!」("Say it ain't so, Ippei!")
 と叫びたい気持ちだ。

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