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「小は大を兼ねる」?

 これは、JR中央線・武蔵小金井駅の北口にあるバス乗り場の案内表示である。

 初めて見た人は「小・中大中高とは何か?」と思うかもしれない。まるで暗号のような文字列だ。

 もっとも、前半の「学芸小」については「学芸大の附属小のことだろう」と答えられる人も多いであろう。ちなみに、正式名称は「東京学芸大学附属小金井小学校」である。

 問題は後半の「中大中高」のほうだ。これが「学芸小・中」であれば「学芸大附属の小・中学校」という意味にも取れるが、その後に「大(学)」、さらに「中高」と続くのが謎だ。

 これについては、一定の予備知識がないと理解することは難しいだろうと思う。実は「中大中高」とは「中央大学附属中学校・高等学校」のことなのである。

「中大」と「中高」という2つの略語をさらに合体させているのだ。かつて一世を風靡したPPAP(ペン・パイナップル・アップル・ペン)に似ていると言えなくもない。

 初見だと、「大きいのか、それとも中くらいなのか」「高いのか、やっぱり中くらいなのか」と迷ってしまう人もいることだろう。


 ところで、東京学芸大学附属小金井小学校があるのは同大学の敷地内だ。大学の東門を入ってすぐのところにあり、近くには附属中学校と附属幼稚園もある。

 この大学東門の外には、もともと「学芸大東門」というバス停があった。

 武蔵小金井駅から東門までは、小学生の足だと歩いて20分以上かかるため、附属小の児童にはバスで通学することが奨励されている。

 一方、附属の中学生は徒歩、大学生は徒歩か自転車で通学するのが基本だ。また、附属の幼稚園児は保護者が送迎をする。そのため、児童生徒・学生のなかで通学にバスを利用しているのは、主に小学生だけということになっているのだ。

 それもあってか、「学芸大東門」というバス停の名称は、昨年(2023年)の4月に「学芸小前」に変更された。大学としては「母屋を取られた」ようなかたちになったが、メインのユーザーが小学生なのだから、これは仕方がないだろう。

 とは言っても、大学生や大学の関係者が「学芸小前」のバス停を利用したとしても、当然のことながら何の問題もない。

「大は小を兼ねる」という言葉があるが、このバス停の場合には「小は大を兼ねる」のである。

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