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厚顔無恥

 5年ほど前のことだが、横浜市内の区役所戸籍課に勤める職員が、市民の個人情報を不正に利用したとして懲戒処分を受けたことがあった。

 当時10代だったこの男性職員は、戸籍課の窓口にマイナンバー通知カードの再交付の申請に来ていた女性に対して一方的な好意を抱き、申請書に記載されていた連絡先に電話をかけたりショートメールを送ったりしたのだという。

 この職員に対する処分が確定した直後、知り合いの校長たちに、
「どんな処分が下ったと思いますか?」
 と質問してみたところ、
「当然、懲戒免職でしょう。被害者の心情を考えても、それが妥当」
「処分としては停職6ヶ月にしておいて、依願退職をするように仕向けるんじゃないかな」
「一般の公務員だと停職3ヶ月ぐらいなのかも。教員ならもっと重い処分になるだろうけれど」
 といった反応が返ってきた。

 ・・・しかし正解は、
「減給(10分の1)3ヶ月」
 なのである。

 10代だということだから、当時の給与が月額20万円だとして、その10分の1は2万円、3ヶ月分で約6万円分のペナルティだということになる。

 無論、処分歴は将来の昇進などに響くだろうし、この件の風評は役所に勤めているかぎり付いて回ることになるだろう。

 しかし、それにしても、
「この程度の処分なの?!」
 というのが率直な印象である。


 一方、女子生徒に対して猥褻な行為をしたとして懲戒免職の処分を受けた山形県立高校の元教諭の男性が、退職金約1914万円が不支給になることを不当として県に処分の取り消しを求めた訴訟の判決が、今月7日に山形地裁であった。

 判決は、
「全部不支給に相当する重大なものと判断したことに、社会観念上著しく妥当性を欠いた点があるとは言えない」
 として原告の訴えを棄却している。

 運動部の顧問だったこの元教諭は、昨年の夏、部活の遠征先のホテル自室に女子生徒を呼んで猥褻な行為に及んだのだという。

 それに関してこの元教諭は、
・行った猥褻な行為の程度は重いとは言えない
・女子生徒はさほど精神的損害を受けていない
・超過勤務が続いて疲弊していたことから異常な心理状態に陥っていた
 ことなどを理由に訴訟を起こしたのだそうだ。

 たしかに、前述した区役所職員に対する処分に比べれば、重すぎるという見方もあるのだろう。

 しかし、私はこの判決を全面的に支持したいと思う。

 教え子に対して猥褻な行為をはたらいたうえに、退職金の支給を求めるなど、
「厚顔無恥」
 にも程がある。

 下ネタで大変恐縮だが、
「睾丸に鞭」
 でも入れてやりたいところである。

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