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「ノーベル賞」級の「誤植」

 学校から送られてきた「個人面談のお知らせ」に、パンチの効いた「誤植」があったと話題になっている。

 この「お知らせ」によると、他の曜日の予定が「個人面談」なのに対して、火曜日だけが「個人漫談」になっているのだ。

「担任が『R1グランプリ』にでも挑戦するのか?」
「『個人漫談①』と『個人面談②』はいつやるのか?」
 など、ツッコミどころが満載である。


 私がこれまでに身近で経験した「誤植」のなかで最大のインパクトがあったのは、10年ほど前、教育委員会に勤務してきた際に同僚が「やらかした」ものだ。

 当時、教育委員会が行う教職員研修の通知文には、末尾にこんな文を添えることになっていた。

研修当日の投影資料が必要な場合には、担当者までご連絡ください。電子データをお送りします。

 要するに、研修で使ったパワポのスライド等の一部または全部を「PDFファイルにして」送るということだ。

 今でこそ「PDF」は世界標準となっているが、当時はAdobe社の登録商標だと認識されていた。そのため、「電子データ」という言葉を用いたのだ。役所はこういうところに気を遣うのである。

 ところがある日、教職員向けのイントラネットに掲載された某研修の通知文を見て、私は目を疑った。末尾の一文がこうなっていたのだ。

遺伝子データをお送りします。

「denshi」と打つべきところを「idenshi」としてしまったのだろう。

 文書を作成した当人も、決裁に関わった係長や課長も気づかないまま発出されてしまったのである。

 もしも「遺伝子データ」のやりとりがメールで簡単にできるようになったら、「ノーベル賞」も夢ではない。ただし、研修で使うスライドの「遺伝子データ」というのは意味不明ではあるのだが。

 結局、訂正版と差し替えたときには、イントラネットに掲載されてから数時間が経過していた。


 PCを使って文書を作成するようになり、手書きの時代と比べて作業の効率は格段に向上した。しかし、手書きのときにはあり得なかったような「誤植」も発生する。

 十分に気をつけていきたいものである。

 ちなみに、例の「誤植」があった研修通知文の件だが、数時間にわたって誤った内容のまま公開されていたものの、
「遺伝子データを送ってください」
 という申し出は1件もなかった。

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