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「ラスカル」との再会?

 昨日、家の近くを歩いていたときに、10メートルほど前を生き物が横切った。大きさはネコぐらいだったが、地を這うように歩くその姿は、明らかにネコとは違う。
 その生き物は、スルスルと民家の中へ消えていった。
(残念。見失ったか)
 と思ったら、いきなりその家の塀の上に姿を現した。

 あわてて、スマホのカメラで撮影する。
 これはタヌキか? それともハクビシンか?
 と思った次の瞬間、その生き物がこちらを向いた。

 どうやら、アライグマのようである。
 スマホのカメラを向けても逃げないところを見ると、人に慣れているらしい。

 その後、アライグマは1階の窓の庇に上り、しばらく周囲を見回していたが、ちょっと目を離した隙に姿を消してしまった。


 アライグマと言えば、アニメの『あらいぐまラスカル』を思い出す人も少なくないだろう。アメリカの農村地帯であるウィスコンシン州を舞台に、主人公の少年とアライグマのラスカルとの交流を描いたこのアニメは、1977年に放送された。
 最終回で、少年は寂しさをこらえてラスカルを森に返すのだが、そのシーンに涙した人は多いことだろう。ちなみに、大ヒットしたドラマ『101回目のプロポーズ』では、主人公(武田鉄矢)の弟役の大学生を江口洋介が演じたが、劇中、江口洋介が『あらいぐまラスカル』の最終回を見ながら涙を流すシーンがあるくらいなのだ。

 もともと日本には生息していなかったアライグマだか、このアニメが引き金になったのか、ペット用に輸入されて人気を博すようになる。だが、凶暴な性格の個体もいたりして、飼い主が遺棄してしまうケースが後を絶たなかったようだ。
 その後、野生化したアライグマは天敵のいない日本で繁殖し、農作物を食い荒らしたりペットを襲ったりするなど、今では特定外来生物に指定され、かなりの厄介者になっているらしい。

 好き好んで日本に来たわけではないのに厄介者扱いされてしまうとは、アライグマにとって理不尽な話である。昨日のアライグマだって、帰れるものならばラスカルのように森へ帰りたいはずだと思う。

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