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今から迎えに行くよ

 今日、娘が高校からバスで帰宅するのを、迎えに行った。一緒に買い物をしようと思って、仕事の帰り、少し遠回りをしてバス停に向かった。
 着いたらちょうどバスが出たのが見えた。そして、彼女がこちらに向かって歩いてきた。思わず手を振ったら、振り返してくれたのだった。

 それは娘がちっちゃいころからお世話になっていた保育園の近くだったのだけど、一瞬、なんだかタイムスリップ?というか、自分が今「どこに(どの時代に)」いるんだろうっていう不思議な感覚を覚えた。
 仕事帰りに子どもを迎えに行くということ。でも目の前にいる彼女は、大きくなって、自分で選んだ学校に通って、勉強をしたり、私の知らない世界を広げていたりする。でも、迎えに行った私に、そっと手を振り返してくれる。
 
 すごく、贅沢な、貴重な瞬間だなと思った。毎日毎日バス停まで迎えに行くわけではないし、今日のような感じで毎回にこにこと顔を合わせるとは限らないだろう。
 十年以上前の私は、未来の私が、またこうやって娘を迎えに行くことがあるなんて知らない。保育園に迎えに行って、とってもちっちゃい娘が私に向かって駆け寄ってくる、あの幸せな感じは忘れられないけど、今日の、この、穏やかで優しい感じも、また遠い将来に思い出して、嬉しい気持ちになるんじゃないだろうか。
 
 車の中での娘は、とってもおしゃべりで、学校での出来事をいっぱい話してくれたのだった。「〇〇さんがさ。。。」とか「△△先生がね」とか。家に着いたら、なんと仕事帰りの夫も同じタイミングで帰ってきた。先に帰宅していた下の子(中学生)が「おかえりー」って言う。

 何か特別な時間よりも、日常を穏やかに重ねていけることがどれだけ貴重なことか、最近よく思う。

 高校生の娘と一緒にこうやって過ごせるのは、あと3年。中学生の娘とは、あと6年。

 保育園時代、どっちかといえばプレッシャーだった(仕事を早く終わらせて、誰よりも早く職場を飛び出すことが大変だった)「お迎え」の記憶が、なんだか少し上書きされたような、そんな夕方だった。

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