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一年

大晦日
といって変わらず、朝から歩いてその季々の草や花を眺める。それだけで今日も良い一日だと思える。 —— 今年という一年を振り返ると、春に復刊をしてからは方々お騒がせ、たいへんお世話になった一年でした。そのなかで「絵本的」という言葉で表現してきたことは、何のことはない、いつもの日課、歩いて、花を撮り、言葉を書くという、ひとつひとつは素朴な行いでした。ひときわせわしい一年だった分、その終わりに、日々の素朴な日課の大切さを思います。

これは七夕の日、母の友さんがおしえてくれたことですが、馴れない子育てに追われると、近くのコンビニさえ遠く感じる、そのような時に、はじめて身近な世界に目が向く、向けるつもりがなくても、自然と向いてしまうんですね。これは何も子育てにかぎらず、何かの拍子に追い詰められた先で、ふと、花が目にしみる。そのようなことが、誰しもあって不思議でない。かくいう僕らも、植物が好きだからというよりは、ある日自然と心にしみた時があり、いらい、ずっとそのような場所で写真を撮り、文章を書いてきたのだとあらためて気づいたのです。

そうしてこれは、ささやかな健康の企てともなっていたのではないか、と一年の終わりに、健康に過ごせて良かったと振り返りながら思い合わせるのです。健康がなによりだと感じるのはそれを失ってから、と相場はきまっているようですが、そうではなく、歩く日々につど感じられたらどれだけよいだろうか。これが来年の、毎日の抱負です。今年が終わる、十年代が終わる、と大袈裟にいってみても、果たして、あるのはいつもの日々です。

来年も、一冊一冊、本を作り、届けていく所存です。またその折々でお会いできますことを楽しみにしております。
それでは、良いお年をお迎えください。

微花拝

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