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娘とふたりで台湾へ〜3日目の九份〜


 以下の記事の続きです♪


 昼過ぎ、九份へ路線バスで行くために、忠孝復興駅まで地下鉄で向かう。

 駅の2番出口からすぐのところに、ちょうど1062番の金瓜石(九份)行きのバスが停まっていた。この場所が始発。バスを見上げると、席はほとんど埋まっている様子。次のバスまで待とうかなと迷っていたら、運転手さんが右手の指を4本立てた。なるほど、後4人座れるということか。

 わたしと娘は、バスに乗り込んだ。隣り合っては座れなかったが、待つよりはいい。14時20分に出発。忠孝復興駅から九份までは、バスで約1時間半ほど。運賃は大人101元。(500円ほど)

 九份までは高速道路も使うため、座っていない人は途中で降ろされてしまう。高速道路では、必ず着席し、シートベルトをしなくてはならないためだ。席がなければ、次のバスまで待った方がいい。

 車内は冷房がかなり効いている。台湾では、冬でも冷房がかかっている場所が多いそうだ。おおらかなのか、涼しいのが好きな人が多いのか。そんなことを考えていたら、出発から5分もしないうちに、体が冷えてきた。気温が上がる予報だったから、薄手の上着で来てしまったのを、とても後悔した。

 ふと、娘が心配になったが、もうすでに寝ているようだ。はやい。寒くはないみたい。よかった。わたしは、持っていたタオルを肩にかけ、両手で肩を抱き、手の温みで、耐えることにした。タオルを持っていてよかった。隣の人が、携帯電話に声でメモをしているのが気になるが、何を話しているかはわからない。

 気づいたら、バスは台北市を抜け、霧の中を走っていた。狭い山道をバスは登っていく。霧はどんどん濃くなっていき、バスは壁に当たりそうなほど、ギリギリを走る。何かにぶつかりそうで、何度も冷や冷やした。

 16時、「九份老街」で下車。着いた九份は、雨だった。霧も深く、肌寒い。これで、体が濡れたら、風邪をひきそうだ。

雨の九份



 だから、コンビニでレインコートを買うことにした。同じように考える人が多く、レジは長蛇の列。どこに並べばいいのか迷っている人がいたから、後ろだよと目配せと指差しで教えた。「サンキュー」「ユアウェルカム」わかってもらえてよかった。購入したレインコートを着たら、ようやく身体があったかくなった。

 狭い通路を挟んで、お店が立ち並ぶ。人人人人…こんなにたくさんの人がいるなんて、ただただ驚く。アジア系の人が多いが、いろんな人種の人がそぞろ歩いている。人でない方が、混じっていても気がつかないかも。ジブリ映画の「千と千尋の神隠し」のモデルになったと言われている九份。街並みもひと昔前の日本のような、けれどそうでもないような。別世界に来たような不思議な感じがする。

店のひさしの隙間から雨が降る
どこも人だかり

 人混みに紛れて歩いていると、試食品がどんどん目の前に差し出される。お礼を言いつつ、娘とふたり、素直に食べた。ドライいちご、マンゴープリン…美味しいけれど、買うほどじゃない。おすすめされても、かぶりを振って、また歩く。

 お腹が減ってきたから、焼きソーセージとサンザシを買って、食べる。焼きソーセージは八角などの香辛料が入っていて、これぞまさに台湾の味。癖になる。サンザシは、生のいちごを串に5個刺したものに、飴がかかっている。いちご飴だ。中国ドラマで、似たようなものが、よく出てくるから、一度食べてみたかった。パリッとした飴の食感の後、ジュワッといちごの果汁が口に広がる。美味しくて、顔がにやける。それからも、雑貨のお店に入ったり、気になったものを食べ歩いた。

 ふと、ふんわり甘い匂いがしてきた。匂いにつられてたどり着いたのは、鳳梨酥(フォンリースー)、パイナップルケーキ店の九彬江家餅舗。ちょうど、中国人らしき団体さんがいて、お店はごった返していた。もう試食はないみたい。けれど、食べてみたい!一個だけでも買えるかどうか、お店の人に聞いたらOKだった。焼きたての土鳳梨酥を、娘と半分こする。パイナップル100%のもの。一個40元。(200円ほど)

出来ての鳳梨酥


 美味しい…

 生地はサクサクとした食感、真ん中にはパイナップル餡がしっかりと入っている。香ばしい生地とパイナップルの甘酸っぱさが絶妙なハーモニー。「お土産はこれだ!」と、優柔不断なわたしと娘には珍しく、すぐに購入を決めた。賞味期限は1ヶ月。一箱は10個入りで400元。(2000円ほど)

 他にもお土産を買い、九份の景色を楽しんだ。日が暮れて、暗くなってくると、ずらりと並んだ赤い提灯が柔らかい光を放つ。その灯りも美しい。

美しい赤い提灯たち


 九份は一年の3分の2は雨というほど、雨が多いお土地柄。ガイドブックの写真のような晴れた九份にはなかなか訪れることが難しいらしい。けれど、霧が濃い雨の九份も、ノスタルジックで素敵だった。

淡く光る赤い提灯


 日が暮れてからは、ますます人が多くなってきた。人酔いするわたしと、疲れやすい娘、19時前に、帰ることにする。

 1番近いバス停「九份老街」へ向かうと、長蛇の列。雨もまだ降っている。肌寒く、ここで長時間待つのはしんどそうだ。事前に調べた、もうひとつ先のバス停まで歩くことにする。そこは始発になるバス停。10分は歩かなくてはならない。

 霧が深く視界も悪い。また道路には歩道がなく、車やバスがひっきりなしに、すぐ横を走っていく。この日は、歩きに歩いていて、上り坂でもあり、すぐにわたしは疲れてきた。

 周りに全く人はいない。真っ暗で、心細い。やっと、たどり着いたバス停は無人だった。ここで本当にいいのか、不安になる。戻ろうかとも思ったが、もうすでに疲れ果てている。歩けない。困った。辺りを見渡すと、道向こうに灯りが見え、何人かの人が待っている。あれ、もしかして、あっちじゃないだろうか。

 娘とふたり、フラフラしながら、そちらに向かう。「隔頂」というバス停。バスの時刻表を確認していたら、そこにいた日本人らしき女性の方が、「台北市内に向かうバスですよ」と教えてくれた。助かった!お礼を言い、それからもおしゃべりしていたら、バスがやってきた。慌ててレインコートを脱ぎ、リュックにしまう。地元の人らしき方が、順番を譲ってくれたので、お礼を言い、先にバスに乗り込んだ。

帰りのバスの路線図


 次のバス停である「九份老街」で、席はあっという間に埋まってしまった。それからも人は乗ってきたが、高速道路に入る前に、立っている人は全てバスから降りさせられた。状況をよくわかっていない人もいそう。あぁ、お気の毒だ。これからどうするんだろうと心配になったが、娘は「大丈夫大丈夫、他の手段でも帰ることが出来るから」と言う。そうだよね。でも、わたしたち、座れていて、よかった。そうでなかったらと思うだけで、体が震える。

 帰り道は、行きよりも時間がかからず、20時過ぎには台北市内に着いた。疲れはだいぶ取れている。西門付近では、張りぼてのランタンが光っている。美しい。先日、見るのを諦めたランタンフェスの会場に近い。ちょうどいいから、少しだけランタンを見て帰ろうと思い、「中華路北帖」のバス停で降りることにした。

光るランタン
鳥居のようなランタン
提灯とランタンの歩道橋


 ランタンを見て歩き、買い物をし、また食べる。結局、22時まで、そこにいた。ホテルに着いたのは、23時前。目一杯、遊んだなぁ。3日目、無事に終了。

 明日は、もう日本に帰る日だ。

追記
2月末の旅行の話です。もう少し、お付き合いください。台湾の地震、これ以上の被害がないよう、祈ります。


九份のパイナップルケーキのお店です♪



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