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息子の入試物語3 『おつカレーさま』



息子の入試物語1と2はこちら

 入試が終わった息子。顔が赤い。怒りのオーラに包まれている…温厚な息子が、ここまで怒ることは珍しい。

 無言で歩く息子。何があったんだ、いったい。そう思いながらも、話したくなるまでは、聞かない方がいいよね。落ち込んでいるなら、想像がつくんだけど…


 自宅近くになって、ようやく息子は話し出した。

 面接担当の先生が、息子にとっては、とてもとても嫌な人だったらしい。

 「圧迫面接だよ、あんなの。人の話を聞かない、揚げ足を取る、否定する…自分はまだよかったけど、人によっては怒り出すだろうし、泣き出す人もいるって思うよ!」

 「そうだったんだね。そりゃあ、がんばったね。」

 話を聴いたら、息子の雰囲気が少し柔らかくなった。国数英の筆記試験は手応えがあったし、作文も最後の一文字までしっかり書けたと言う。

 面接が一番大変だったらしい。息子は面接をさほど苦にはしない。意外な結果になった。息子は、「もっと言い返せばよかった」と、まだ怒っている。この面接、何か意図があるのだろうか…

 とりあえず、終わった。ちゃんと、最後まで受けられた!がんばったなぁ。よかったなぁ。ありがたいなぁ。

 面接が気になるけれど、もう終わったことだ。息子は、「もし受かっていたら、あの先生には、極力近づかないぞ」とつぶやいている。

 まぁ、いろんな先生がいた方がいい。社会に出たら、嫌だなと思うタイプの人にだって、遅かれ早かれ出会うのだ。止まらない息子の愚痴にあいづちを打ちながらも、そう思った。


 夕飯に、作っておいたカレーを温める。
今日は、豪華に牛すじ赤ワインカレー。昨日のカツも残っている。


 「おつカレーさま!つカレーたね。」

 しばし沈黙の息子。

 「いただきます!」

 カレーにスルーされた…



後、一回だけ続く予定です。
もう少し、お付き合いください。





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