閏(うるう)の解釈…今年は平年ですが、思い出したので

閏年、閏月、閏日、閏秒。

このうちどれかは、皆さんも聞いたことがあると思います。

ではこの「閏」という文字の意味は、どういったものなのでしょうか?


以前、ラジオで「閏」は「王様が門にこもって出てこないこと」だと説明していて、ひっくり返ったことがあります。
冗談で言っているのかと思いましたが、料理研究家と元アイドルがやっていて、いたって真面目な雰囲気で言っているのです。

2月なので、ふと思い出してネットで検索してみると、驚くことにこの説ばかり。

「ええー、一体どうなっているの?」


「閏」の「王」は、元来「壬」の文字なので、上記の解釈はまったくの的外れ。

「壬」が「王」に変化している文字はかなりあって、今思い出すのは「聖」ぐらいですが、もっとあったと記憶しています。

「王」の文字は、許慎の「説文解字」では「天地人三才を貫く」と儒教的な解釈が行われ、甲骨文の「王位を表す大きなマサカリの形」の意味は失われています。「王」は曰く付きの文字なのです。
「理」の最近「王偏」といわれているものは、「玉」の点が取れたもので、正しくは「玉編」ですし…。

「閏」の音読みは「ジュン」、「壬」の音読みは「ジン」、通じるところがあります。「王」の「オウ」は全然関係がありません。

「壬」の意味は「大きな人」、人が大きく立ちはだかる姿です。

つまり、「閏」は「門」と「大きな人」で「(大きな人は門に)入れない、はみ出す」ということになります。


これで「閏年、閏月、閏日、閏秒」が、「(通常の暦から)はみ出したもの」ということがわかります。


そもそも、暦は「王が決める」もので、暦が王の行動を決められる訳がありません。
「朕の好きにさせろ。」と言われてしまうでしょう。


「さんずい」の付く「潤」の文字とのつながりも、容易に想像できます。

上記の意味を敷衍すれば、「潤」の意味は、
「水を吸って大きくなる、膨らむ」
→「シワなどが引っ張られてなくなる」
→「潤(うるお)う」
ということが、簡単に想像がつきます。


いかがだったでしょうか?

これは「白川漢字学」からの解釈です。

白川先生を「あれがおかしい、これがおかしい」と批判する方も多いようですが、一人で辞典三冊分の解明に挑んだ方です。
何しろ、岩波新書青版「漢字」を書いたときに、藤堂先生が編集部にクレームを入れた、というくらいですから。

多少の齟齬はあります。
明らかに年代により解釈の変わっている文字もあります。

白川先生の心意気を感じていただきたいと思います。

白鶴美術館、一度行ってみたいなぁ。


お読みいただき、ありがとうございました。




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