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トイはおもちゃのトイ?

お店を開くことを報告した人の何人かに、そう訊かれることがあった。

ドイツのおまじない(toi toi toi)について思いを寄せてもらったり、樋という自分でも想定していなかったものにまで触れてくださる方もいた。

そんな声を耳にする度、想像していたよりふくよかな解釈ができるtoi booksという屋号を改めていい名前が浮かんだものだと自画自賛したりしている。

今日はそんな屋号について、時間が経つにつれてきっと記憶も曖昧になるだろうし、経緯を知りたいという奇特な方もいるかもしれないので、防備録も兼ねてつらつらと書き出してみようと思う。

はじめに名前を考えるきっかけになったのは、実際に本屋をすることなんてまだ考えていなかった時で、じゃあ何のためにかというと、
H.A.Bookstoreの松井さんと双子のライオン堂の竹田さんが企画されている百書店大賞に応募するためだった。

その頃僕は次に働く場所をゆるく探しながらも、不意にできた暇を少し持て余しながら日々を過ごしていた。そんな時にTwitterのタイムライン上に流れてきた百書店大賞についてのツイートに目がとまった。

面白い企画だけど、自分は今本屋に勤めているわけでもなければ、何か本屋として活動しているわけでもないから参加できないなぁと遠巻きに羨ましがっていたら、
本屋lighthouseの関口さんから屋号を名乗ればいいじゃない、との豪腕アドバイス。
そのやりとりを見ていた松井さんに、思いがあれば十分に本屋だと思うので、参加してみてくださいとの温かな声をいただき、

それなら一度屋号を考えてみようかな、という気持ちになった。

どうせやるなら、適当につけただけの名前では良くないな(選ぶ一冊にも迷惑がかかるし)、せめて自分がしっくりくる名前にしたいなと考え、思いつく限り色々な屋号を挙げていった。

ききみみ書店、きつね文庫、柊文庫、十書店、BOOKS今日、tiny bookstore、BOOKSHOP鰐の庭、午後文庫、書店jakob von gunten…
何となく良い気もするけれど、決め手に欠ける。

どうしたものかと袋小路に迷い込んだ気持ちになっていた頃に、ふと“問”という言葉が浮かんだ。
響きはいい、この言葉を屋号にする理由もするすると出てきたし、これ以外にはないような心持ちになった。

あとは一番響きが良い形におさめるべく、可能な限り“問”を使った屋号を並べて、声に出してみてtoi booksに着地した後、その勢いのままロゴも考えた。一日置いて、見返してから、やっぱり悪くない、良い名前だと自画自賛してこの屋号は生まれた。

こうやって生まれた屋号を、あとひと月ほどで本当に実店舗として動かしてゆくことになるなんてことは、その頃は考えてもなかったけど、きっとそういった一つ一つに意味があったのかも、なんて今思ったりもしている。

これからも、いい意味で勢いに流されながら、僕自身は勿論のこと、来てくれた人がそれぞれの問いを見つけられる場所になるように頑張りたい。

僕が込めた想いは、本は答えだけでなく、良い問いを与えてくれるものだということだけれど、来てくれた人それぞれのtoi booksが生まれるような
本屋になればいいなと思っている。

あと少しで、オープンの日にちも発表できるかと思うので、オープンしたその時には貴方にとってのtoi booksを、大切な問いを探しに是非いらしてください。

※現在のtoibooks。ようやっとお店らしくなってきました。

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