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私が給食のおばさんだった時vol.3

給食室の調理場で大事なこと、それは導線だ。

導線は、調理をする時に人やものが移動する経路のことで、社員さんは毎日次の日の経路を決める導線図というのを作成している。
なんで導線図が必要なのかというと、食品の二次汚染を防ぐためだ。


例えばその日のメニューが、メンチカツと卵野菜スープとフルーツだったとしよう。
まず、野菜を切るチーム、メンチカツチームに分かれる。
メンチカツチームが扱うのは生肉なので、野菜チームとは離れた場所で作業する。その時、メンチカツチームは野菜チームの場所を、野菜チームはメンチカツチームの場所をなるべく通らないように導線が考えられる。


メンチカツチームは肉を丸める人、衣をつける人、揚げる人に分かれる。生肉を使う人は、使い捨てエプロンに使い捨て手袋を着用する。
揚げる人は揚げる人用のエプロンをする。
メンチカツを揚げ物用の鍋に投入するのは、衣をつけている人の仕事だ。揚げる人は、揚げる前のものには触らない。汚染を防ぐためだ。揚がったものをざるに上げて運ぶのは、揚げる人の仕事だ。衣を付けている人や肉を丸めている人は触らない。汚染を防ぐためだ。


卵野菜スープの場合、卵アレルギーの子がいると卵を入れる前のスープでアレルギー用メニューを作り、それをアレルギー用の器と食缶に入れる。アレルギー用メニューを作る人は、作る時に「アレルギー作ります」と言う。今アレルギー作ってるから、他のことは出来ないんだなとわかる。

 アレルギーメニューがある日はみんな緊張する。作る人も配膳室でクラスに渡す人も。間違えては命に関わることがあるからだ。

給食室では、意外に声を出す場面が多い。下処理室から調理室に野菜を出すときには、「キャベツお願いします!」とか「人参お願いします」とか叫ぶ。調理室で肉や肉が通る時は、「卵通ります!」とか「肉通ります」とか言わなくていけない。汚染に気をつけるためだ。
生肉や卵と生で食べるフルーツなどが交差してはいけない。そうしないように、導線図が考えられている。

そうして出来上がったおかずは、クラスごとの人数を数えて食缶におさめられる。フルーツも数える。例えば🍓が今日は1人3個付だとする。クラスの人数が37人プラス先生1人38人分×3だ。途中で数がわからなくなれば、数え直しだ。間違ってはならない。なぜなら、足りないと教室から生徒が「足りません!」と給食室まで取りに来るからだ。給食を食べる時間が少なくなってしまう。

給食作りは大変だし、時給は安いし、社員の給料も涙が出そうなぐらい安い。でも子供は可愛い。だって、
「いつもおいしい給食ありがとうございます」とか、言われるんだから!!もう嬉しいし、可愛い。

そういえば、私がいた給食室の副主任は「給食を作る人になるのが夢だった」と話していたなぁ。彼はその後主任になったらしい。給食の調理師は給料安いからなかなか結婚出来ないと、主任は言っていたが、こうゆう仕事こそもっと給料が良ければいいのなぁと思う。

#給食 #給食のおばさん #小学校 #導線

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