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ある喫茶店にて

窓の外から蝉の声が聞こえてくる アイスコーヒーの氷が溶けてゆく 待ち合わせの時間にはまだ早い 時計の秒針がゆっくりと時を刻む 店内には私一人 レジカウンター横で、猫があくびをひとつ… 冷房のきいた店内から見る窓の外の景色は、 蜃気楼のように揺れている ドクン ドクン カラン… ドアベルの音と共に、氷が溶けた。

    • 白と黒

      棚に本を並べてゆく 彼の漫画 私の小説 彼の漫画 私のエッセイ 彼の漫画 私の画集 彼と私は、違う。 正反対とかではなく、違うのだ。 当たり前のようだけど、 別の人間が上手くいくにはコツがいる。 黒と白を混ぜ合わせて、グレーを作る。 グレーはグレーで、ひとつの色である。 人と人が合わさると、新しい何かが生まれる。 なんだかそうゆう関係っていいな、と 本棚を見ながら考える。

      • ドライブ

        環八、時速70km 彼の背中に掴まり、街が過ぎ去っていく 春なのに彼の背中はしっとりと汗を含み 狭い空からはギラギラと日差しが照りつける スカートの裾がはためく 渋滞の隙間をすり抜けてゆく 帰る頃には太陽は雲に隠れ、 徐々に薄暗くなってゆく 『大丈夫かな…?』 そう思った途端 ポツリ ポツリ 気づいた頃には、土砂降りになっていた。 ザーザーと雨とタイヤの音 急いで近くのファミレスに逃げ込む ずぶ濡れのまま、空調のきいた店内で 凍えながらホットココアを飲む

        • 白ワインのカクテル

          白ワインとフルーツティーを 1:2で割る。 白ワインの酸味が和らいで、とても飲みやすくなる。 フルーツティーも ピーチ レモン アップル など、色々な味で楽しめるのもまたいい。 春の夜、ベランダで飲みたいカクテル。 #カクテル #白ワイン #フルーツティー #春 #Spring #家飲み #一人時間 #ベランダ

        ある喫茶店にて

          寒い夜

          心も身体も冷えきる時がある そんな時私はいつもココアを飲む 大きめのマグカップにたっぷりのミルクココア 最後にチリパウダーを一振 ピリリとチリパウダーの刺激と、とろける甘さ 飲み干す頃には、なんとなくホッとする 寒い夜だから感じる幸せなのかなぁ、と たまに思う

          煙草と珈琲

          今や禁煙、分煙が当たり前になった世の中だが、かつては電車内でも吸えた時代があった。 『コーヒー&シガレッツ』 という映画を高校生の時に観た。 たわいもない会話をしながら、煙草と珈琲を嗜むその映画の意味が当時はよくわからなかった。 もしかしたら、あまり意味なんてなかったのかもしれない。 モノクロの映像に、燻らす煙草と珈琲がなんとも色っぽく大人に見えた。 ありがちな話だが、私の煙草は過去の男と共に変わってきた。 多少の好みはあるが、煙が出ればなんでも良かったのかもしれない。

          煙草と珈琲

          夏#2

          蝉の声、ムンとした湿気、ジリジリとした太陽 強い波音を聞きながら 私は彼に会いに行かなかったことを後悔した

          夏#1

          西日の強い日差しを浴びて、帰路へと向かう ゆらゆらと遠くからバスが来るのが見える 隣にはプール帰りの髪の毛がしっとりと張り付いた妹の寝顔 車内はガラガラで、静かにバスは進んでいく やけに重いプールバックと疲れ果てた身体が今日の楽しさを物語っている このまま一緒に寝てしまおうか しかし目的のバス停で起きられなかったら困る 姉妹を乗せてバスはゆっくりと走ってゆく #ショートショート #短編小説 #プール #バス

          1.冬の終わり

          鳩が1羽、人々の合間を縫って一筋の風となった。 ほんのりと春の香りを思わせる残り香が空高く舞い 『あぁ、冬が終わってしまうんだ』 少女は思った。 春の訪れは少女をときめかせ、そしてチクリと胸を痛ませた。 #ショートショート #短編小説

          1.冬の終わり

          no title #1

          _______________朝_______________ その丘はひどく霧がかっていた 緑にうっすらと夜露がたまり、空気は冷たく湿っていた 朝日が登る 虹色の光がゆっくりゆっくりと1日の始まりを告げる 少年は息を切らしながら、1歩1歩と歩みを進めていた 目指すは真実の泉 ある窓辺に、もたれかかる少女 あれだけ輝いていた星々は徐々に薄れゆき、やがては朝日に飲み込まれた それが彼女には、とても悲しく思えた ある男はベッドの中で眠りについていた たった今眠り

          no title #1