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2020年始大島・広島

 風が強く、暖冬傾向にしてはかなり冷え込んだ2019年夜。紅白歌合戦に心惹かれながらも私は京都を出発した。利用するのは夜行バス。18年から19年にかけては高知に向かった私だが、今回は広島に里帰りすることにした。バスの中で新年のカウントダウンを迎え、眠りについた。
 到着した広島は朝六時前で、まだ真っ暗だった。そして、京都を発ったときよりもとても寒かった。妹に迎えに来てもらい、私達は故郷・周防大島へと向かった。

 日が昇りきった空は晴天で、風は冷たいがかなり暖かかった。海風も心地良い。商業施設が閉まっている元日にしては、キャンプ客や釣り客も多くかなり賑わっていた。みんなここで年明けを迎えたのかと思うと、昔を思い出し懐かしく、そしてさみしくなる。大島の海は夏のように真っ青で、まだ始まったばかりの今年一年の中でも指折りなほどに美しい透明な色をしていた。
 手短に墓参りを済ませ、早めに帰路につく。メインは明日、年明け二日目の初詣だ。

▲初乗りはもちろん広電 23年が楽しみな宮島口駅にて

 寝坊せずに起床、身内と合流して宮島へ向かう。朝早いためか電車もフェリーもさほど混雑なく、すんなりと入島できた。出店で賑わう光景は変わらず、鹿たちは日向で微睡んていた。
 初詣といっても、私達は厳島神社にはお参りしない。その奥、大聖院というお寺が私達の行きつけだ。だから初詣という言葉も適当ではないのかもしれないが。

▲大聖院の階段脇の道。帽子をかぶった地蔵が花畑のように並ぶ

 私は二十数年通っていながらも、未だに新年に張り出されている運勢表の読み方がわからない。身内はすぐやれ大凶だ半吉だと判るようなのだが、教えてもらうまで一向にわからない。身内の助言によればどうやら私の今年は半吉であるらしかった。リアクションに困る。

 お参りが済んだら、もうあとは観光だ。私は自分を“観光客モード”と宣言することがある。地元でも慣れ親しんだ土地でも、これを自分の心うち乃至同行人に告げることにより私は“観光客”になる。「このへんで有名なものってなんですか?」「えっ! そんな美味しいものがあるんですか知りませんでした!」初見のように振る舞うことでなんとなく旅が楽しくなるので、私はだいたい“観光客モード”に入るのだ。いつもは入らないような喫茶店や土産店、観光地にも気安く入れるようになる自己暗示のようなものである。

▲観光客モードで入店したのは伊都岐珈琲。頼んだのはカフェモカ。
▲おのぼりさんのように資料写真を撮りまくる。普段はなんとも思わないラテアートも、カワイ〜とか言いながら写真を撮るのだ

▲島旨PAN。頼んだのは藻塩パン(左)と宮島コーヒークリームパン(右)

▲宮島GEBURAのホットレモン

▲藤い屋による店舗「古今果」 

 宮島に訪れたのはかなり久しぶりだ。昨年は高知に行っていたし、もしかすると一年以上空いていたかもしれない。その間に宮島口を始め、表参道商店街も大きな変化を遂げていた。鳥居が修繕に入ったとか、大杓子が撤去されて観光用の施設になったとか、ニュースでは聞いていたがまさに百聞は一見にしかず。インバウンド効果もあるのか、老舗店舗も大きく業態を変えてそこに存在していた。店構えが綺麗になったところもある。店舗の入れ替わりこそあれど何年も変わらない風景だったので、現在の商店街の姿は私にとってなかなか衝撃的だった。しかし、何もかもがなくなっていくよりはずいぶんマシだ。思い出は思い出として仕舞い、今の宮島の姿もしっかり記憶にとどめておきたい。

 さて、2日の予定は宮島での初詣と、もう一つある。1月末で閉店するアルパーク天満屋への来訪だ。繁く買い物をしていたわけではないのだが、なんやかんやと所縁があるもので、せっかく広島に帰るならここにも行ってちゃんとお別れをしておこう、と思ったのだ。

 ただそれだけなのだが。このあと普通にアルパークで買い物して帰った。

 次はいつ帰ろうかなと思う。たぶんまた今度。

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