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2023年のお仕事~そしてその先へ

2023年も皆様には大変にお世話になりました。
今年は以下のような一年でしたので、お礼を兼ねてご報告させていただきます。

🔸 研究生活 博士論文提出・博士号授与

 今年は2月に博士論文を提出しなければならず、非常に切羽詰まって空けました。年明け早々、お腹が痛くなり、胃カメラを飲んだり、胃薬を飲んだり、鍼にいったり。
 その後の一か月も大変つらく、苦しい執筆の毎日でしたが、何とか2月2日の締め切りに博士論文を提出しました。
 5月の口頭発表会を経て、7月に博士号授与、9月に学位授与式をいただくことができました。
 まもなく博士論文も公表できることと思いますので、また報告させていただきますが、ビジネスと人権に関する国際法の課題と発展を、ライツホルダーの視点に立ち、被害救済の観点から論述しました。まだまだ研究はスタートラインですが、博士号をいただくことができ、身の引き締まる思いです。

9月には論文発表を受けベルギーのルーバンカトリック大学のサマーコースで発表

🔸 刑法性犯罪規定の改正
 今年なんと言っても注力し、また嬉しかったのは刑法性犯罪規定の改正を実現したことです。

解説記事
https://www.at-s.com/news/article/national/1263263.html

海外メディアにもコメント掲載いただきました。


https://www.bbc.com/news/world-asia-65887198

  
 刑法改正を実現した6月の朝。一緒に頑張ってきた皆さんと一緒に。

国会前で

9月には祝賀パーティーも開催することができました。

祝刑法改正パーティー

この問題でニューヨーク大学ロースクールのセミナーに登壇し、報告させていただきました。

その後ですが、ようやくコロナが明けて、海外にも行けるようになり、

🔸 ビジネスと人権

私の博士論文のテーマは「ビジネスと人権」
この関係でも様々な媒体に取り上げていただきました。
https://digital.asahi.com/articles/ASR516QG5R4TULFA00Z.html

 NYUで3月に行った講演
https://usali.org/events/business-and-human-rights-a-japan-based-ngos-perspective

こちらはAmerican Society of International Lawで告知いただき、大変光栄です。

11月にはペンクラブ女性作家委員会からのお声がけで、ジェンダーの視点に立ったビジネスと人権に関する講演をさせていただきました。

 
 
 11月には台湾で開催されたビジネスと人権に関する地域フォーラムに登壇。

台湾での国際会議

 また11月にはジュネーブで開催された国連ビジネスと人権フォーラムに参加する機会を得ました。

国連ビジネスと人権フォーラム

 ヒューマンライツ・ナウとしては、ビジネスと人権に関する欧州などの流れと同様、企業に人権デューディリジェンスの義務を課す法制化を求めて活動しています。

4月に開催した院内集会

また、12月にはジェンダー法学会で、ビジネスと人権に関するハードロー化の動きについて学会報告をさせていただきました。

🔸 ビジネスと人権✖️ジャニーズ問題
 今年は、ジャニーズ性加害問題を受けて、性暴力被害の問題とビジネスと人権の問題に取り組んできた私に、発言する機会を多くいただくことができました。
 実は私は一昨年頃より週刊文春の取材に答えてジャニーズ性加害問題についてコメントしてきたので、BBC以降のメディアや関連企業の雪崩を打ったような対応に「これまで黙殺しておいて、なぜ急に手のひら返し?」という感想も持っていましたが、これを機会としてビジネスと人権について知っていただく機会が多いと良いし、何より被害者の方々が救われ、エンターテイメント業界に蔓延る人権無視や性加害を根絶したいという思いでご協力してきました。
 なにより刑法改正によって不同意が性犯罪の中核に位置付けられ、性をめぐる社会規範がアップデートしたからこそ、ジャニーズ問題も性加害として認識されることになったのですから(刑法改正で初めてで大人が16歳未満に性行為をすることは全て犯罪となり、また地位関係性を利用した性犯罪についても規定が置かれました)、その意味でも社会は少しずつ変化していると感慨深くもありました。

こちらが再発防止特別チームの調査を受け、8月30日にヤフーに書いた記事です。


関連企業の対応については早くも6月に毎日新聞に記事を掲載しています。

その後も、

https://www.asahi.com/articles/DA3S15754319.html

こちらは9月にヤフーに書いた記事です、
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/435a31d0eba32fd9550ba0843933ea328c9395e3

 
9月13日に出演したポリタスTVです。

 しかし、非常に道半ば、日本の抱える課題は大きいですね。
特に、再発防止特別チームの提言を受けたものの、旧ジャニーズ事務所が十分な対応をせず、被害当事者を追い詰めている様子は心が痛むものであり、コメントを掲載したり記事を書くなどしてきました。

https://mainichi.jp/articles/20231003/k00/00m/040/246000c

特に補償のあり方に関する問題提起について詳しい記事をヤフーに掲載。

https://www.youtube.com/live/znucgTKulEo?app=desktop&si=GtqpnrLe_dACvUcx

 少しでもこうした発言を通して問題が是正され、被害者の方々の被害救済が進むことを願ってやみません。そのためにも「ビジネスと人権」指導原則に基づく関連企業の行動は非常に重要だと感じます。

🔸 メディア・エンターテイメントが抱える問題
 ジャニーズはメディア・エンターテイメント業界が抱える人権軽視、性暴力容認の風土を象徴的に示すものですが、抜本的にはエンターテイメント業界の関係者の人権を適切に守る法律が必要だと感じています。そのための比較法研究なども進めているところで、来年にはジャニーズ問題の被害救済も進み、構造的な問題にもメスが入り業界全体の改善が進むこと、法整備の議論も本格化することを期待します。
 今年は以下の事件を提訴し、来年裁判がスタートします。来年もAV被害防止救済法の運用改善や改正、デジタル性暴力の問題に引き続き取り組んでいきます。

 また、ジャニーズ問題と比較して十分なメスが入っていないと感じるのはこちらのテラスハウスの事件です。ジャニーズのように第三者委員会調査をしていたらもっと真相が究明され、説明責任を果たさざるを得ない立場に追い込まれたであろうと思うと、極めて遺憾です。今や、木村花さんの死の責任を完全に否定しているのが、フジテレビと制作会社の姿勢です。それで良いのでしょうか。花さんの死を無駄にしないために何が求められているでしょうか。

木村花さんのメモリアルマッチ2023


 今年に引き続き、来年も裁判でこの事件に取り組んでいきます。

🔸DV・離婚事件 

 今年は長年取り組んでまいりました離婚事件の多くが解決しました。
ずっと苦しい思いで裁判を続けてこられた方々がようやく笑顔で新しい人生のスタートを切れる様子を拝見すると、こちらも深い感慨に包まれ、元気をいただきます。これこそ弁護士冥利につきる瞬間ではないかと思います。ご本人もお子様たちも、素晴らしい人生をこれから進んでいかれるよう願ってやみません。
 来年も引き続き、主に女性の方々の立場に立って、離婚や家族に関するに取り組んでまいりたいと思います。DVやモラハラ、子どもに対する虐待事案でお悩みの方のお役に立てればと思います。

🔸 ガザ問題

 戦争は最大の人権侵害 そのような思いで国際人権活動をしていますが、今年後半10月以降はとても苦しい思いの連続でした。
 ガザ地区で起きていることはまさにジェノサイド。これまで確立されてきた国際法、国際人権保障システムを完全に無視し、薙ぎ倒すものであり、到底許すことはできません。微力であっても国際法という平和のツールを学んだものとして、国際法違反の人権侵害の即時停止、即時停戦を求めて、声をあげていきたいと思います。

🔸 そして2024年へ

 博士論文、刑法改正、AV被害防止救済法の実現など、この数年、、いや2015年くらいからずっと取り組んできた課題について、昨年と今年、大きな成果を得て結果を出すことができました。
 長年取り組んできた事件も多く解決しました。本当にありがとうございました。
 私が原動力としてきたミッションが実現したわけですが、来年以降も新たな目標を設定し、引き続き多くの方が生きやすい社会の実現、そして社会運動や人権活動、ジェンダーの課題を担う次世代の若い人たちを、(育成というとおこがましいですが)もっと応援していけるようこれからもがんばっていきたいと思います。

ジュネーブにて

 

国連人権高等弁務官事務所副代表来日の際に。


 今年は、核兵器廃絶日本NGO連絡会の共同代表に加え、WWFジャパンの評議員に加えていただき、「次世代に安全な地球をバトンタッチできるか」ということを痛切に感じました。岐路に立つ人権や環境、紛争の課題についてしっかり声をあげていきたいと思います。

国際人権法学会


 博士課程で進めてきた研究についても、これからも継続し、こつこつと積み上げて社会にアウトプットを出していきたいと思います。
 2024年以降もどうぞよろしくお願いいたします。


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