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statsfmから見る2022年私的ベストアルバム 21位〜30位

Spotifyユーザの方はご存知だと思うが、年末になると「Spotifyまとめ」なるものが例年提供される。

今年自分がよく聴いた曲、音楽のジャンル、アーティストなどがランキング形式でInstagramのストーリーズのような形で表示されるものだ。

これに近い価値を提供してくれるアプリが「stats.fm」だ。

Spotifyアカウントとアプリを連携させて1ヶ月や半年など集計期間を設定すると、その期間に自分がよく聴いた曲・アーティスト・アルバムのランキングを表示してくれる。他にもどの時間帯にSpotifyで音楽を聴くことが多いかといった傾向もチェックできる。さらに最近になって2022年という括りでもまとめてくれるようになった。

実は例年のSpotifyまとめでいつも改良してほしいと思っていたポイントの1つに、「アルバム単位でもまとめてほしいなー」という点があった。ところがstats.fmを使えば、(華々しいグラフィックこそないが、)自分の手で勝手に「Spotifyまとめ~アルバム版~」みたいなものを振り返ることができるのである。

怠惰な性格の私は、こうして無意識のうちにデータが記録されて集計される様が好きで日々愛用している。

というわけで、せっかくなのでこの年の瀬のタイミングで、今年統計的によく聴いていたアルバムをランキングにしてまとめておこうと思う。30位までの作品を10作品ずつ記事にしていく。

前提

職業柄、きちんと前提条件を明記しておくこととする。まず実際に見ている値は「Minutes streamed」。つまり、単純に音楽を聴いていた時間である。どこまで正確に記録されているかは定かではないが、直前に聴いた曲の分数だけ増えているのを確認できたのでわりと確からしい値になっているはず。それから、集計期間は2022/1/1~2022/12/17とする。

この辺りの情報から容易に想像がつくが、重要な前提としてリリースが遅いほど不利な大会である。例えば12月リリースで物凄く印象的なアルバムがあったとしても、物理的に曲を聴いた分数が足りなければ全くランクインしてこない。逆に1月リリースは相当有利。

最後に、何か制約をかけた訳でもないが邦楽一色のランキングとなっている。来年はもう少し洋楽も聴こうかな。

そんなことを踏まえながらポンポンと紹介していく。

30位 『REFLECTION』 tofubeats (395 min.)

30位から早速、自分が手動でまとめたらあまり入ってこなさそうだなという作品。逆に言うと、それだけ無意識のうちにリフレインしていたのだろう。

表題曲の「REFLECTION feat. 中村佳穂」がとにかく素晴らしい。自分自身のふるまいを省みるようなリリックにハッとさせられながらも、終盤のポップスとしての爆発力がクセになる。

この曲を中心に据えた本作。tofubeatsは曲中の要素の作り方や使いまわし方に特に優れた才能がある人だなと思っていたが、社会性を反映した作詞の力もあるのだなと実感した。

29位 『Doping Panda』 DOPING PANDA (397 min.)

今年10年ぶりに再結成を果たしたDOPING PANDAのセルフタイトルアルバム。

中高生の私が音楽にハマったとき、「ドーパンという老舗のロックバンドがいるらしい」くらいの認識だった。気づいたときにはバンドは既に解散していて、ボーカルのフルカワさんがソロで活動しているのを何度か観てきた。

バンドとしての作品の蓋を開けると「この人たち、こんな真っすぐでカッコいい音楽やってたのか、、」とかなり驚いた。シンプルに聴かせる「Streaming man」なんか特にサプライズだったし、「Silhouette」「Imagine」に見られる都会的なアプローチも取り入れる感性は、若者にもまだまだウケるのではないだろうか。

28位 『蜜・月・紀・行』 猫戦 (400 min.)

今年初めて知って、大きな収穫だ!と思ったバンド、猫戦。どうやら現役大学生グループとのことだが、末恐ろしい。

ボーカリストをフィーチャーした純粋なポップスを軸としながらも、上物のように揺れるメロウなギターや踊れるグルーヴのベースラインなどクセになるサウンドを持ち合わせている。ボーカルの原田さんの繊細な声がとにかく素晴らしい。

Spotifyのリスナー数とかTwitterのフォロワー数とか、他と比較して桁が一つ二つ落ちるバンドを発掘できると嬉しくなるものだが、きっと近いうちに何十倍もの人気が出そう。

27位 『TOWNCRAFT』 TAIKING (403 min.)

Suchmosのギタリスト、TAIKINGの1stアルバム。2021年からソロプロジェクトを開始しており既に充実したEPをいくつかリリース済みだったが、今年それらの既発曲と新曲を交えたアルバムがリリースされた。

楽曲のテンションも歌声も優しく心地良い一方で、所々で挟むハードなブレイクにはギタリストとしてのカッコよさも存分に表れている。

今年はTAIKING本人のライブには行けなかったが、彼がサポートで入っているライブを何本か観た。たとえ自分の曲でなくとも、その曲の持つノリと色を自分のものにして時に会場の空気を煽るような、楽曲への理解力と没頭力がすごいミュージシャンだなと感じた。

26位 『JUMP ROPE FREAKS』 ズーカラデル (403 min.)

ズーカラデルも今年初めて知ったバンド。初めて聴くのにこれだけ懐に収まるような音楽があるのかと、とにかく不思議に感じた。

どこか懐かしさを感じる安心感のあるサウンドと重厚なバンドアンサンブルが素晴らしく、普遍的で真っすぐなリリックには勇気をもらえる。

1曲ごとの聴きやすさやまとまりの良さがある一方、アルバムそのものはボリュームたっぷり。

25位 『Spirit & Opportunity』 ステレオガール (409 min.)

とにかくカッコいい。この一言に尽きる。

2020年にリリースしたアルバム『Pink Fog』を聴いて好きになったバンドで、アーティストとしてのアティテュードもサウンドも「尖ってるなー」という印象を持っていたが相変わらず。ただし、聴きやすさが更にプラスされたように感じた。

洋楽に詳しくないのもあってこうしたジャンルの音楽はよく聴く部類ではないのだが、今年配信ライブで披露された「Angel, Here We Come」でのギタリスト宇佐美さんのギタープレイを観てからますますファンになった。一度ライブに行ってみたい。

24位 『Master Work』 ODD Foot Works (419 min.)

ギターロックのようなジャンルが続いたがここでヒップホップグループのODD Foot Works。とは言え明確なジャンルの垣根など無く、特に彼らの音楽はヒップホップとして分類するにはもったいないと感じるほどバラエティ豊かだ。

のっけから凄まじい勢いで飛ばしてきたかと思えばスローなビートで落ち着かせる曲も豊富に兼ね備えていて、目まぐるしく変わる展開を終えるとアルバム通しても31分、コスパ最高。

23位 『FICTION』 BREIMEN (420 min.)

昨年TENDREのことを好きになって、その影響で今年はAAAMYYYやBREIMENを聴くようになった。BREIMENは爽やかさもありながらどちらかと言うとドロッとした音作りが特徴で、たぶん前情報なしでは聴き込まなかったであろうジャンルだと思う。

そういう意味では、好きなアーティストと一緒に行動しているメンバーとか好きなアーティストが褒めていた楽曲とか、無条件で好きになる傾向があるかもしれない。

実は今年ライブのチケットを買っていたのに、疫病に罹患したせいで行けなかったアーティストの1つ。来年こそ生で聴いてみたい。

22位 『But wait. Cats?』 [Alexandros] (425 min.)

アレキサンドロスの4年振り8枚目のフルアルバム。自分が大学生だった頃フェスシーンの中心をかっさらっていたバンドが、今なお大ヒットを重ねている。今年は特にドラマやアニメのタイアップで耳にする機会が多かったように感じた。

元々大ファンというほどではなかったが、本作を通して貫くべき音楽を貫き続けている様に少し感動してしまった。

BPMの速い曲が目立ちがちなバンドだが、やっぱりミドルテンポのアプローチも心地良い。

21位 『from JAPAN 3』 Tempalay (430 min.)

Tempalayというバンドを知ったのはごく最近で歴史は詳しくないのだが、本作はメジャーデビュー前の楽曲をセレクトしリアレンジした作品。

浮遊感のあるサイケデリックなサウンドを展開して、世界観も唯一無二で、、彼らの褒めどころや謳い文句は尽きないが、私が思う一番の魅力は "包容力" だと思う。

不気味な雰囲気を纏いながらも最終的には琴線に触れる優しさに帰ってくる所こそ、愛すべきポイントだなと感じる。

今年は意識的に色々なジャンルを聴いてきたつもりではあったが、統計を見るとやっぱりロックバンドの作品が多くなるなと。自分の中では深層心理的にそういう音楽が根付いているのかもしれない。

そんな発見ができるのも、作品を能動的に選ぶのではなく受動的に選ばれる仕組みのメリットだなと感じた。

残り20作品に続く。

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