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落ちこぼれを教えてた日々:前編

最近、日本の貧困や教育について取り上げられることが多いので


学生時代に塾講師として落ちこぼれと言われる子達を教えていた時の思い出を書いてみようと思います


大学時代、体育会アメフト部に所属していた私


部活が忙しくて、がっつりバイトに入れない


でも、お金は必要

何か時給の良いバイトないかね?

ということで、家にいた兄に相談してみた

兄「今、俺がバイトしてる塾、講師募集してるで」

私「塾講師かー。時給良さそうやけど、教えるの難しそやな。」

兄「いや、進学塾じゃなくて、むしろ学校の教育についていけなくなった子をフォローする地域密着型の塾やから、勉強を教える難しさという意味では全然大丈夫やで。」

私「へー、ほな行ってみよかな」

ということで、さっそくアポを取って行ってみた

塾長として出てきたのは、当時25歳くらい?のさわやかなイケメン

塾長、若っ!

と思いながら、彼から一応この塾がどんなところなのかという説明を受けた

簡単に言うと

このイケメン塾長がその地域で様々な理由から義務教育についていけなくなった子ども達を支援していきたい

という純粋な気持ちから立ち上げた塾で、地元の小中学と連携しながら運営している地域密着型の塾だった

場所も児童館のような公共施設の空き部屋を借りていて、おそらく費用は塾講師代くらいだったんじゃないかと思います。

※バイト代もコンビニよりは全然良かったけど、いわゆる塾講師バイトとしてはだいぶ低かったと思います

塾長「うちの塾は、進学塾ではなく少し問題を抱えた子達ばかりなので、色々と苦労するかもしれませんが、お兄さんの手腕を見ているので、講師の資質としてTK工房さんは問題ないと安心してます」

私「え、あ、はい。。講師の経験はないですが、頑張ります」

私の兄は教師としての才能が抜群で、現在は小学校教諭をしており、その能力の高さから、毎回学級崩壊したクラスを受け持たされ、1年後には完璧にまとめ上げるというカリスマぶりを存分に発揮しているほどの人物です

それと比べられても、キツイものがあるんですが、、、

塾長「それではTK工房さんには個別指導を持って頂きます」

個別指導? 一対一ならまだ楽かも

塾長「特に問題がある生徒は、クラス授業に入れられないので、個別指導で対応してるんです」

え?


塾長「今回担当してもらうのは、つい先日、少年院から出てきた16歳の女の子です。」


うぉーい!!!??

いきなりハードル高すぎひん!?


私「16歳って高校生ですか?」


塾長「いや、長いこと院に入っていたので、中学校3年生をやり直しすることになったんです。」

私「そ、そうですか。わかりました」

塾長「正直、勉強は教えなくて良いです。たぶん本人もする気ないですし。毎週塾に来さして話を聞いてあげてください。」

後日、初授業のために、塾へ出社

どんな子が来るんだろうとドキドキ部屋で待つ私

当時の私はバリバリ現役のアメフト部員だったこともあり

ざっくり見た目はこんな感じ

なので、まぁインパクト負けはしないだろうという謎の自信はありました(笑)

そして実際はというと

部屋に入ってきた女の子(A子)は、想像してたより小柄で

笑うと

シンナーで溶けたのか

想定より歯が少ない感じの女の子でした

まぁ、でもなんというか可愛らしいというか愛嬌のあるというか

よくわからないけど、たぶん一般的にはTHEヤンキーという感じだったかもしれない

私の風貌が彼女のヤンキー心とマッチしたのかは知りませんが、自然と初めから話は弾んで

なんだやっぱりヤンキーと言っても

根は子どもなんだな、とか思った記憶があります

私「なんで少年院入ってたん?」

彼女「いやなんかムカつくやつおってさ。ボコボコにしたら、少年院入れられた」

おいおい、どんなけボコボコにしたんや

彼女「私アホやから勉強とか出来ひんで。やりたくないし」


私「ええよ。俺もアホやし勉強嫌いやもん」

彼女「え、じゃあ何するん?」

私「面白い話してや」

彼女「そんなんないわ(笑)」

私「いや、なんでもええねん。俺毎週おるから、1週間あったこと教えてくれよ」

彼女「うーん、なんもないと思うけどなー。」


私「何もなかったら俺がなんかオモロい話したるわ」


彼女「何それ?(笑)てか、自分、何でそんなムキムキなん?」

私「アメフトやってるねん」

彼女「アメフトって何?」

私「ラグビーみたいなやつ」

彼女「ラグビーって何やった?」


携帯に保存してある写真をいくつか見せながら


私「こういう感じでぶつかりまくって、相手吹っ飛ばして喜んでんねん」

彼女「へー。」

私「俺は吹っ飛ばされて、ヘコんでるほうやけどな」


彼女「うそ!?絶対うそやろ」

私「いやいや、ほんまボブサップみたいなやつばっかりやねんで。そら吹っ飛ばされるやろ」

彼女「えー、そーなんや!」

私「だから、まだまだ鍛えなあかんねん」

私「ちなみに俺、中学の時、帰宅部でガリガリのオタクやったから、その時に君と会ってたら絶対シバかれてるわ」


彼女「はい、絶対うそ」


私「いやほんまやって(笑)」


こういう時のためにネタでわざわざ携帯に保存していた中学校の時の写真を見せる

彼女「マジでー!?これ自分?」

私「せやで。これがこんなんなるからな。まぁ、頑張ったら誰でもこうなれるんやわ」

彼女「へー」


というような会話を繰り広げて、あっという間に1時間が終わり、彼女との初授業が終了

良い子やがな

とか思いましたが


もちろん、そう簡単に物事は上手くいかず

まぁ、授業に来ない(笑)

2回に1回はサボるし


ちょっと遅れると言って、授業終了10分前に現れたり


とまぁ、悪戦苦闘しながらも話を聞いていると

この彼女(A子)は片親で、少年院を出てからは中学校で仲がよかった女友達(1人)とよく遊んでるようでした


女友達も地元のコなので、度々塾には顔を出していましたが、この子は無事高校生に上がれていた模様

そして、A子には彼氏という名の、おっさん(土方勤務)がいた。

このおっさんが何歳くらいだったか完全に忘れましたが、「おっさん」と記憶していたので、 当時の私(21歳)よりは上だったはず

こいつがまた典型的なダメなやつで

避妊はしないわ、タバコ酒ギャンブルに引き込むわ、塾なんて行っても意味ないから行くなとか言い出すわで

「そいつシバきあげたるから呼んでこい!」と言いたかったのを覚えてます。 (もちろん言ってません)

私「何で先週来ーひんかったん?」


A子「私は行こうと思ってんけど、彼氏が行くなっていうからさー。塾なんて行っても意味ないって」


私「そいつ塾行ったことあんの?」


A子「ないと思う」


私「A子は最近何がおもろい?」


A子「え?まぁ、友だちと遊んでたり、彼氏と遊んでる時かな」

私「そんなん絶対おもんないやろ。そいつらと会ったことないけど、絶対おもんないし、時間の無駄やで」


A子「は?ケンカ売ってんの?」

私「て、俺が言うたらそう思うやろ?」


A子「普通にキレそーなる」

私「お前何も知らんくせに、何調子乗ったこと言うてんねん、て思うやろ?その彼氏が塾なんて行っても意味ないて言うてんのはそういことや」

A子「...」


私「知らん奴がテキトーにエラそーに言うてること聞くんじゃなくて、自分で考えたらええねん。お前がここに来てて、意味ないと思うんやったら、辞めたらええ。俺は寂しいけど、まぁしゃあないわな。」


A子「正直来るのはメンドくさいけど、こうやって話してるのは楽しい」


私「まぁ、楽しいんやったら来てくれよ。」


A子「わかった」

結局、それから1〜2回来てくれましたが

その後、音信不通となり、辞めてしまいました

中学くらいはちゃんと卒業したんかなー

今、どーしてるんやろ


次回は、登校拒否児のお話です

#バイト #塾講師 #ヤンキー #少年院 #カウンセリング #アメフト

サポートいただいたお金は、こんな僕を育ててくれた母ちゃんに還元したいと思います。