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トージョー・ヤマモトの帰還(Wrestle Mania)  川柳66句

猿酒に天動説の天映る

滅びの詩テニス会場開け放ち

駅弁を木村政彦買い捨てる

方舟の図書館に置く鉱業史

カバディを審じて冬のかたつむり

ト書きでのサイケデリック進講し

洪水に原辰徳の髪を切る

雪の檻窒素をもとめ合う男女

冬至より青木昆陽禁書され

しろじろと冬至の頁ガチ日記

意訳して恐怖漫画の無の頁

声優に冬日のそそぐ皇居前

ノイズ無き地表に車寅次郎

冬至過ぎ遥か関西マット界

ガラモンをみて帰りみち昏きこと

ロケットを点対称の国と揚げ

かなしみよ季語にあらざる歌舞伎揚

冬至過ぎロボット兵の塗る真白

冬未明明けてセックス・ピストルズ

星雲に星雲ふれて咳一つ

年行く日亀の雑誌を買いに出る

検校の杖に似たもの星に衝く

定型の字数の限りたらばがに

年暮るる記号に拠った句を書いて

大寒波伊藤かずえの城崩れ

ハリウッドからの視点で記紀を読む

蟹座なき夜の上皇誕生日

上皇の野望解きたる誕生日

雪のなかかがやく時計ひとつきり

豆腐捨つ太平洋を縦断し

戦後詩のウォルト・ディズニー立つ廊下

いつの日も人魚が臭い市場出て

町人が居ないミクロの決死圏

稚児が押す核のボタンに指紋の渦

童貞のケンタッキーを線で引く

劇作家ひとりとてなし撰我場

零人のサイコ・ドラマに幕が無い

浪曲のうる星やつに霜柱

将軍の小脳壊れ首都諸島

林家の年鑑を網元に貸す

年終わる車輪の下にユング寝て

年終わる作画崩壊回視つつ

大くさめアンダルシアの乳母死にて

祖母死なず反小説の寒の雲

血族のミーアキャットを占じあう

アカを狩るカリオストロの城の外

東條忌二重思考のブイ浮かべ

異母同母戦犯処刑されて居り

にんじんをカラシニコフの忌に希う

死の家の記録に鱈の分解記

プリズンに母の国から分母降り

ショール縫う石屋に向けて憑る神

クリスマス用地球儀に日本無し

戦犯の言語にカネオクレタノム

豚まんにいかれ上皇誕生日

透明の象舎建つべし散る日本

意味として仏間のエリア51

放哉をめぐる筋肉少女帯

街の名に空手バカボン年暮るる

擬映画が創価大学生映す

ジャンキーが小谷実可子を出しにゆく

骨盤に似た骨盤を置き帰る

眼の壁を須藤元気がはがれ落ち

ながい旅兵隊やくざ再話して

がちんこのくらさ上皇誕生日

ぬりかべが意識を襲う明日聖夜


*2023年12月22日 冬至、1954年12月22日 力道山対木村政彦戦、1948年12月23日 東條英機死刑執行、1933年12月23日 上皇明仁生誕


#川柳 #現代川柳
#詩歌 #文芸 #木村政彦 #死刑執行 #上皇誕生日 #冬至

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