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プロフォトグラファーが作品撮りをする意義とは

フォトグラファーにとって、定期的に作品撮りをする事は非常に大切なことだとここ数年特に感じています。

かく言う僕自身も仕事を初めたころから作品撮りをしてきたわけではありませんでした。

フリーのフォトグラファーという仕事をスタートさせてからの数年間はとにかく仕事の量を増やす事が最優先で、来たものはなるべく断らずにオールジャンルの撮影をしていました。

ある意味これは必要なことだったと思っています。それによって様々な撮影の現場でスキルアップと人脈が出来ました。

ただ、今考えるとそれだけでは不十分だったなと思っています。

数年の間は徐々に撮影スキルと経験値が上がっていくにつれて、撮影のマネージメントや納品クオリティーは向上していきました。でも、それは突き詰めれば先人たちの技術を真似ているだけで、自分ならではの替えの効かない画作りや雰囲気を創り出すことではないのではと思うようになりました。

ちょうどその頃に海外のフォトグラファー情報サイトやフォトグラファーのYouTubeを観るようになり、日本の「カメラマン」とは全く方向性の違うフォトグラファー像に強く影響を受けました。

日本以外のフォトグラファーは自らを「アーティスト」だという認識で作品撮りを頻繁に行っています。

そして彼らの多くが自分だけの「スタイル」を確立していて常にチャレンジし、唯一無二になろうとしています。

考えてみれば、これだけカメラ自体の技術が進化している現代では、条件が整えばプロではなくても良い写真は撮りやすくなっています。また、撮った写真を雰囲気よく仕上げるためのアプリも豊富に揃っています。機材を揃えれば誰でもプロ並みのクオリティーの写真を「撮る」ことは可能だと思います。

では、僕らプロが技術以外で磨ける要素は何かというと、自分の「スタイル」を「創る」ことの追求だと思っています。

それは、例えばクリエイティブな発想であったり、それを実現する企画力であったり、チームマネジメントのスキル、撮影後の編集やブランディングなどかもしれません。

その「スタイル」の確立は直ぐに出来ることではありませんが、作品撮りを定期的に行うことによって少しずつ磨かれていくと思います。

何より自分の写真と向き合う事でより深く写真を理解し、想像力や新しい発見に出会えると思います。

また、その事が仕事のへフィードバックされて良い循環が生まれていと僕自身も感じています。

僕自身の事で例に挙げると、ポートレート撮影をメインに作品撮りをしています。

始めた当初はまずモデルを探すところから始まり、ヘアメイクや衣装、撮影場所の許可取りや撮影後の写真編集、ポートフォリオ作成など普段の仕事ではやらない様々な事を手探りで一つ一つやってきました。

回を重ねるごとに色々な失敗と、驚きがあり、そのたびに学びがあります。何よりうまくいったときの達成感は作品撮りでしか味わうことができないものです。仕事の現場では失敗は許されませんが、今では作品撮りのときはあえて新しい実験を入れるようにしています。

最近は僕のポートフォリオを見て僕のスタイルを気に入ってくれて撮影を依頼してくれる海外のお客様も増えてきました。とても嬉しいです。

フォトグラファーという仕事は国境が関係ない職業なので、やり方次第で日本以外でも活躍できる可能性があります。自分のポテンシャルを最大限磨き上げるためにも作品撮りはやり続けることが大切だと思っています。唯一無二のアーティストとして。


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