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漫画のストーリー作りが苦手な人は「学園恋愛マンガ」から描くのがオススメな話

この世の超大人気漫画はファンタジーが多い気がします。

ワンピース、進撃の巨人なんか舞台設定からファンタジーですね。この世に無い場所。
世界的人気のアメコミも、舞台は現代ですが現実離れしたファンタジー能力を持つ者が多めです。宇宙にも進出しますし。

僕は仕事で漫画を教える事があります。
そして自分自身が専門学校で教わっていた事もあります。
その為、これまで何十作というデビュー前の漫画家志望の漫画を読んできました。

その中でも、描き始めて間もない少年漫画家志望者の多くはファンタジー漫画を描いていました。
やはり子供の頃から読んでいたジャンプや、TVアニメにはファンタジーが多いので、描く作品も近いジャンルになるのでしょう。(あくまで僕の印象で、世代によっても大きく変わりそうですが)

それは当たり前です。憧れの作品があって、自分もあんな作品を描きたい!と思うのは当然ですし、強いモチベーションになります。
その気持ちを否定する気は全くなく、むしろ好きなら描きまくるべき!と思います。

しかしその反面、多くの漫画家志望者がファンタジーを描く事で失敗している印象があります。
それは単純に、ファンタジー漫画は描くのが難しいからです。

ファンタジーはまず世界観の説明の難しさと、
読者に感情移入させる難しさがあります。

剣と魔法のドラクエみたいな世界観の場合、
その世界では魔法はどんなものなのか、魔物はいるのか、主人公はその世界でどんな生活をしているのかなど、説明しなくてはならない部分が多いです。(もちろん全部を説明する必要はないですが、読者に細かいところで疑問を持たせないようにするのが難しい)

もし魔物を倒す話だった場合、魔物を倒すことに読者が共感できるような設定を作る必要があります。
現実に魔物がいれば「危険だから倒そう」となりますが、
漫画にする場合はそういう表面的な理由だけでは弱く、ドラマチックさに欠けます。必要なのは内面的な行動理由です。
例えば「魔物を倒して父のような勇敢な戦士になりたい!」「自分は落ちこぼれではないと証明したい!」などなど…言い方を変えれば読者に「同情」してもらう必要があります
そういう主人公は応援したくなりますからね。応援してもらうには、大切な人の為に戦う!というのもいいでしょう。


ここでようやくこの記事のタイトルの話に入ります。
なぜ「学園恋愛マンガ」が良いのかと言うと、
ファンタジーでは難しい「世界観の説明」と「共感」の両方を一瞬で解決してしまうからです。

まず世界観(設定)の説明。
主人公が高校一年生で、クラスでは影が薄い…
と1ページめに描けば、その主人公がどんな毎日を送っていて、何歳で、何に悩んでいるか、みたいな事が一発で分かります。
わざわざ文章で説明をしなくても、「高校生だし朝7時くらいに起きて平凡な家庭にいて毎日勉強とか部活とか恋愛とか友達関係に悩んでるんだろうなーお金はそんなに持ってないだろうなー」となんとなく読者は思ってくれるはずです。学校・学生という設定のわかりやすさは強いです。学園生活という青春に夢を抱く人は年代に限らず多いというのも興味を持たせる要因ですね。

そして共感の話。
「恋愛」は最強の共感ツールだと思っています
多くの人が大なり小なり経験しているもので、しかも心の揺れ動きが激しい感情です。
例え漫画のような恋愛を経験していない人でも、ショックな出来事があったときの切なさには共感出来るでしょう。
逆に結ばれたときの嬉しさにも共感出来るでしょう。(例え結ばれたことが無い人間でも、結ばれたらどれだけ幸せかは想像出来る…)

恋愛マンガのもう一つ良い点は「悩み」と「目的」がはっきりしているところです。
書き慣れていない人の漫画は、これ結局なにがしたい漫画なんだろう?となりがちです。
描きたいエピソードや設定に意識がいきすぎて、根っこの部分がおろそかになってしまうのです。キャラの性格や目的がわからないまま話が進んでしまう…。

恋愛マンガの目的はもちろん「告白する事」や「あいつと付き合いたい!」になります。
好きな人がいる、その一言で目的は伝わります。
そして悩みは「告白できない何らかの理由」です。
失敗が怖いとか、自分に自信がないとか、ライバルがいるとか…理由は様々ですが、恋愛の悩みはわかりやく共感してもらいやすいものを作りやすいです。


最小限の説明でも、読者に共感してもらえるジャンルが「学園恋愛マンガ」です。


もちろんこれは万人に当てはまるわけではなく、あくまで「共感してくれる読者の母数が多いのでは?」という話です。
そしてファンタジー漫画がダメ、という事でもなく
単純にファンタジーは「描くのが難しい」という話です。
ファンタジー設定はインパクトが強く個性を出しやすいというメリットがあります。力強い作品が生まれやすい気がします。一度のめり込めれば、現実ではありえない夢の世界を全身で体験出来るのがファンタジーです。
だからこそ大ヒット作にはファンタジーが多いのではないのでしょうか。

ファンタジー漫画で「共感の話」を描く方法は後日、別の記事で描いていこうと思います。


もし今まで描いてきたジャンルで成果が出なかった人は、学園恋愛マンガを描いてみてはいかがでしょうか。

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・ちなみに筆者の学園恋愛マンガ高身長の後輩(女)と低身長の先輩(男)が恋愛に発展するまでの漫画単行本①巻をAmazonで無料配信しました!!!!

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