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新マンキンは

マンキンは10年前の放送当時から、自分の人生の礎の一つともいえる程に好きな作品です。寧ろマンキンとの出会いがなかったら、多分ここまでオタクとして魂を燃やして生きず、間抜けな生き方で人生をゴミにしていたんだと思う。

そのような私が、新マンキン一話を見て、心に浮かんでいることを、ただ、ザザーッとまとめることもなく、書きたいが為のnoteです。

※以下、ネタバレ、否定的意見を含む可能性があります。ご自身で判断してお読み下さい。

旧マンキンの作風があまりにも好きすぎた

「私が初めて知るマンキンがこれだったら、ハマりはしなかったし、オタクとしての人生を歩むこともきっとなかったんだろうな」

これが、新アニメへの正直な感想でした。

新旧、良い悪いもないと思います。
それぞれが、「そういうタイミングで作られたものだった」というだけで、あとは各々の好みの問題に過ぎない。

私は、やっぱり旧じゃなきゃ、この魂を燃やしてはくれないな、と思う好みの人間だった。というだけで。

声なき声を目にしては、結構絶賛している声が私の目にはよく入って来たので、新のあの作風の方が良い、と思う感性の人も当然いる。むしろ、そうだからこそ新マンキンがあのような作風になったとも言える。

これじゃないな、と思ったところを素直に箇条書き

とても難しい話ですが、皆様に向かって、「これはダメだ!観るんじゃない!」というようなものではありません。
あくまで、私の求めるマンキンとは違ったかな、と、私自身に向かって問いかけるものです。

・キャラデザ
・曲
・声
・演出
・作画
・キャラクター性

一つずつ、じっくり見ていきましょう。

キャラデザ】

私は武井先生のキレのあるスタイリッシュで、かつ二次元イラストのデザインとしてのデフォルメがなされているあの絵がとても好きです。

昨今、二次元の絵は、どうも「リアルにいかに近づけるか」が良さの根幹に据わってきているような印象で、アニメの絵も、線の一つ一つが、リアルさを求めるが故に、ふにゃふにゃしているというか…
武井先生の描く最高の線のキレが、どこにもないことが、ちょっとショックでした。

アニメ放送前から多少情報は見ていて、PVも観ていました。
今のアニメの絵だなあ…とは感じつつも、きっと動いたらイイカンジになっているのだろう、と思いましたが、中々そうもいかなかったかな、と。

旧アニメが、武井先生の描くキレをもっとマシマシにしてすっげースタイリッシュにカッコよく描いていて、その作風に魂を貫かれたのもあり、どうしても気になってしまう点でした。

曲】

逆に、旧アニメのOver SoulとNorthan lightsは何故あれほどまでに熱く、聴く人の心を凛と研ぎ澄ます音楽だったのだろう、と考えてしまうほど。

新アニメのSoul salvationも、まったく同じ布陣の、作詞めぐさん、作曲たかはしごうさんなんです。
フルを聴く前は、このお二方の曲なら、今回も間違いないだろう、と期待に胸膨らませていたくらいです。

Over SoulとNorthan lightsがあまりにも好き過ぎるが故に、それと重ねて見ようとしてしまっている面もあると思います。
10年経った今となっては、私自身が、何かに魂を大きく燃やすだけの感性が無くなってしまっていることもあると思います。

でも、それでも、「これだ、私の欲しかったもの…!」という感情に包まれることが出来なかった…その理由が、私自身も知りたい。

どちらかというと、EDの♯ボクノユビサキの方が旧アニメOPの曲の雰囲気を踏襲していたようにすら感じてしまいました。

♯ボクノユビサキは、恐山ル・ヴォワールが元々ボカロ曲として個人作成され、それをめぐさん自身がカバーした背景があり、ボカロ的な要素を入れた…というのをチラッと目にしました。

でも…なんだろう、後述するキャラクター性にも関わるのですが、マンキンは私にとってはとにかく「カッコイイ」もので、それは当然アンナさんにも当てはまるのです。
だから、敢えて「幼気な少女」である理由が分からなかった。
恐らく、幼少期の孤独だったところから、葉君に出会って、「一人じゃないから」と、今のアンナさんが口にする、ということなのかな、とは思っています。
でも、アンナさんは、幼少の頃から、少なくとも「幼気な少女」ではなかったと思っています。流れ込むあらゆる人の声に心を絞められながら、恨み憎しみを抱いて、それでも生きてきた、芯の強い女性、と私には見えています。

曲の一番最後に、いつものめぐさんの歌い方での「一人じゃないから」が入るのですが、正直、この曲全編、いつものめぐさんの芯の通った歌声で、最後に更に力強く、「一人じゃないから」と言ってくれた方が、一人苦しみ、迷いながらも懸命に生きてきたアンナさんの強さがあってよかったのかな…。

旧アニメの挿入歌として有名なbrave heartは私の中で、1,2を争うほどに好きなマンキン曲ですが、新アニメの挿入歌はいかほどのものかな、と少々の懸念を抱いております。

声】

武井先生の要望もあり、メインキャラは葉君以外はほぼ旧アニメと同じメンバーで揃えられたんだっけな。

旧アニメの葉君の佐藤ゆうこさんは、今は声優活動をほとんどされていないとのことで、日笠さんが担当されています。

寧ろ、日笠さんは限りなく佐藤さんの演技を守った上で演じられていることが伝わってきて、すごいなぁ…と思うばかりです。
ここ2,3年くらい、最新アニメをあまり積極的には観なくなってしまったので、正確なことは言えませんが、少なくとも、日笠さんの演技で今回の葉君のような演技は聞いたことがありません。

本当に葉君として、演技を作りこんで下さったのだな、と感じています。

逆に、旧アニメと同じであるはずの、他のキャラの演技が、どうも気になってしまいました。

まん太君、そしてPVでしかまだ聞いてはいないけど、アンナさん

足早な思いかもしれません。
でもどうしても、寧ろ旧アニメと同じキャストさんだからこそ、その違いが浮き立ってしまいました。
正確に表現する言葉が見つからないのですが、「個性」が消えてしまった気がしました。
恐らく声優さんの声質の変化ではなく、演技の変更によるものだと考えています。
変に高くなって、独特な声の特徴が薄れてしまった。
まん太君は、「ただの小柄な男の子」、アンナさんは「幼気な少女」。
どうしても、そんな感じがしてしまうのです。

でも…めぐさんほど真剣にキャラに向き合って演技される声優さんはいません。きっと私が気づけていない何らかの意図がある。
だから、これからもじっくり観ていこうと思います。

演出】

話のカットは特段気にはなりませんでした。
ただ、カッコイイはずの場面が、妙にカッコよくない。
なんだろう、谷も山も無い、一本線、の印象。

うーん、上手く言葉にならない。

作画】

キャラデザでも書きましたが、武井先生の特徴であるキレがない。
カッコよくない。

よく見ると、割と旧アニメの時代は、作画レベルはそんなに良くなくて、キメるときはキメるけど、それ以外は結構大変なことになってる、なんてこと結構あったじゃないですか。
でも、キメるところはバッチリキメていたからこそ、半ばサブリミナル的に最高の作品として心に残るんだと思います。

新アニメ、というか、昨今のアニメは、魅せる場面でなくても、常時ある程度のレベルが保たれている印象ですが、キメ場も何もなく、ずっとそれが続いているだけ、ただ崩れていないだけ、にも思えてしまいます。

やけに頭でけえな、とかちょっと怪しい部分はありましたが、作画崩壊というほどではありません。

常時ぼんやり発光しているようなエフェクトは、この頃のアニメで、綺麗に魅せる効果として用いられているものなのだとは思いますが、それも線のキレを暈してしまう、マンキンにおいてはマイナスの効果になってないかな…と思うのですが、どうでしょうか。

キャラクター性】

やっぱり、カッコよくない。
葉君は、「ユルい」というより、「ただボンヤリしているだけ」のように感じてしまいます。
葉君の「ユルさ」には、あまりにも狂おしいほどに愛しいほどの、「過去の経験」と「人生観」があります。

芯のある「ユルさ」で、一人の人間の生き方としてカッコイイのです。

それが、中々伝わってこないのが、苦しい…。

まん太君も、竜さんも、阿弥陀丸も。
それぞれの生き生きとした個性が無くなって、平べったくなってしまっているような…考えすぎなのでしょうか。

全体を通して思うことは

カッコよくない。

もう、これに尽きるのです。

例えていうなら、純度の高い金属を叩いた瞬間に出る、一本の筋のように鋭い音のような、電光石火のような、そういうキレとスタイリッシュさが根底にあるのが、私の感じるマンキンです。

小~中学生くらいの男の子が主人公の作品が、二次元の中心だった時代。
コロコロ作品のアニメ化が全盛期だった辺りでしょうか。
変にキラキラすることもなく、とにかく熱くて、真っ直ぐで、カッコよかった。

そういう、子供のワクワクする心に突き刺さるようなアニメ作りが主流だった当時と違い、今は女の子や、高校生~大人が主人公と、寧ろ当時の裏返しのような作品が今の主流になっていると感じています。
綺麗で、複雑で、そして悟りを開いてしまっている感じ。

10年で表と裏ほどの感性の違いが生まれている中で、同じように作るのは、ほぼ無理なのかな、との思いは、マンキンのリメイクの発表当時から抱いていました。

だから、怒りのような感情はありません。
旧が好きなら、新は観ずに旧を観ていればいいだけの話。
そこは、視聴者側が選択する部分です。

ただ、もうマンキンがあの時以上に私を熱くしてくれることはないのだな、という寂しさが、胸の中にある。
それが、このnoteを書くに至った思いです。

新しくアニメ化したマンキンを、武井先生はどう感じているのか…。
そもそも、元々声優さんが全て当時のまま揃わなければ承諾出来ないと仰っていた武井先生が、よもや主人公である葉君の声が変わってしまう状況で、どのような思いで承諾したのか…。

私自身佐藤ゆうこさんが演じる葉君の人物像を余すところなく表現しきったその演技は、いつ聞いても胸が熱くなるほどです。

何より、何より、何者にも左右されず初めから一本の芯としてご自身の世界観を持たれている武井先生が、そんなご自身の世界観を詰め込んだ作品であるシャーマンキングの今回の新アニメ化について、どう思われているのか…。

それが、とても気になっています。

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