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記憶の欠片の物語5

わたしと彼が自宅にたどり着いてからしばらくして、ドアを激しくノックする音が聞こえた。

トマスがわたしの所に来た。

「フレデリックさま。おやすみの所申し訳ございませんが、急ぎお会いしたいという若者がみえております。先ほどまで、パブでご一緒だったと申しておりますが、いかがいたしましょう?」

こんな夜更けに誰だ?とおもったが
一人心当たりがあった。


「父上に言いつけてお前らふたりを追放する!」と叫んだアホが来てるのかもしれないと。

「会おう」とトマスに伝え、ガウンを羽織り

玄関に向かった。


さっきの喧嘩のあいつがいた

今度はふたり連れだ。一人は家の使いのもののようだ。何か持ってきている。


顔は腫れていたが(パブで殴ったから)
顔色は青ざめている。何かあったらしい。


そいつが唐突にしかもやたら丁寧にわたしにいった。

「先ほどはあなた様をよく存じ上げず大変失礼なことをした。謝罪をしにきた。実はあれから父の所に行き、貴方たちふたりをどうにかしてくれとたのみにいった。家柄が自分より低いのに馬鹿にされた。と父に言いつけた。ところが、店の弁償を全部こちらで持つという。だから今渡せる分だけ持ってきた。足りなければまたこちらで用意すると伝えてほしいと。」

「今すぐいくんだ。
お前がケンカを売る相手ではない。相手が悪すぎる
父があんな風に取り乱すなんてよほどのことだ。どうか今回の事は水に流してほしい。それを、言いたくて調べてここにきた。」と言ってうつむいた。


わたしは「金はもちろん受けとる。足りなければ請求をそちらに回す。」と伝えた。


「これはきみの父上に話をするのか?」

「めんどくさいから適当にごまかす。喧嘩は事実だが相手の素性まではいうつもりがない」




わたしは店の弁償代を期せずして回収した。


これでヤツのありったけの上等な服を誂えよう。


玄関先で青ざめてつったっているさっきの喧嘩の相手は
自分と同じようなものだ。立場が違えば同じようにしてるかもしれない。腹が立つどころが哀れみすら覚える。こいつも家に縛られてるんだと。
似たようなものだ。何不自由ない暮らしのようで
しがらみに縛られまくっている。先が決まっている。自分に選択肢がない。将来も結婚相手も何もかも

自分で選んで自由にいきられるそんな世界にはやくなればいいのに。








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