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ひよこ日記。あんなにがんばったのに。

毎日毎日いっしょーけんめいがんばって仕事の合間に帰宅してから自分なりにがんばったつもりだった。だけども現実はキビシくて
パソコンの画面越しに見るフランス語の試験は不合格の文字。

死にそうな気分である。

苦労が水の泡!とか言いたい

夕飯をボソボソと食べていると結果をなんにも教えてないのにアルベルトとフレッドは察してくれたらしく試験の結果のことに一言も触れてこない。

仕方ないけど言うしかない。

試験落っこちた…

フォークをガチャンとお皿にぶん投げる

いつもならそういうお行儀悪い仕草をすると
フレデリック大先生が右眉をピクッと上げて
冷たい視線をよこすのだが、今日はなーんにも注意してこない。

…まあ、次があるだろ。

ひよこちゃん、たまには一杯どう?とアルベルトが聞いてきた。

飲みます。飲まずにおれるか!

…試験別に受けなくてもいいんだよ?
いまは生活に支障はないくらい話せるんだから。

わたしはワイングラスを掴んで白ワインをぐいっと飲んだ。

そんな逃げるような選択はしないっ!!

フレッドはじいーっとわたしを見てる
アルベルトは気遣うようにわたしをみてる

…なら頑張れ。次はいつなんだ?

半年後…

フレッドは目をそらさない

何かついてる?

おまえ、大丈夫か?

なにが?

全部だよ。

知らないわよ。手酌でワイングラスに並々注いで二杯目をぐびぐび飲み干した

あーあー…そんな飲み方おすすめできないなあ
アルベルトが苦笑いしてる

どこが間違えたのかはわかるのか?

そりゃ落ちた人は回答内容閲覧できるけど

おまえ、ほんとうに次受けるんだな?

…わたしは。
悔しさがぶり返してきて喉がギュッとしまる

わたしは…ほしいんだもん

ああ。

なら、現実をみるんだな。間違えたところ
みてみろ。

僕と一緒にもう一度おさらいしよう

いまから?

今日しなくていいよ

そうだ。今日はなんにもするな

負けたくない。

は?

負けたくないのっ!!

誰にだよ?

そんなの自分に決まってんじゃん。

フレッドが渋い顔して苦笑いした。

僕はそういうひよこちゃんが大好きだよ。

あざます。

わたしちょっと外にでてくる!

は?

ちょ、ちょっと待て。今日はあれだ。宅飲みにしないか?

なんでよ?

傷心モードのわたしには
なんかよくわかんないけどホテルラウンジのバーが似合うような気がする。

ひとりでいくの?

たまには。

こういうときに飲まないでどうする。

たまには宅飲みしようぜ?
好きなの飲ませてやるから

え?好きなの?

お酒に詳しくないわたしはよくわからないけど、セラーにズラリと並んだワインの中からなんかこれよさげ。とピンときたやつを指差してこれがいい。とフレッドにいうと一瞬たじろいだフレッドを見てアルベルトが声を殺して笑い出した。

…わかったそれにしよう

弱いわたしはすぐに酔ってきた

強いふたりは顔色変えずにスイスイ飲んでる

すぐに頭がぼーっとしてきた。そして今回は泣き上戸と化した

うっ、うっ…なんでなのよう。頑張ったのに…

泣きながらそれでもワインを飲もうとする

アルベルトが不意にそうだひよこちゃん、旅行に行こうといいだした。

お、いいな。どこに行く?

フレッドがテーブルに肘をついて頬杖ついてる

うん、どこにでも。ひよこちゃんが行きたいところ

わたしはー、うーん。うみがきれいでー、ほしがたくさんみえてー、そんでごはんがおいしくてー、それでいっぱいねれるとこがいいなー

よし。きまり。ならそうしよう

いついくのー?

いついきたい?

わかんなーい

といいながらブチッと意識が途切れた。
早速寝落ちしたらしい

…やっぱ外に呑みに行かせなくて正解だったな。

ほんとうに。

つか、あいつ銘柄よくわかんねえくせに一番上等のやつ指さしたぞ?

ワイングラス揺らしながらフレッドは苦笑いした

アルベルトが笑った

はははは、ほんとひよこちゃん、目ざといというか、知らないけどわかるんだね。

オークションで競り落としたやつだぞ?はあ、、いや、いいけど。

大事にしまい込まれて飲まないで取っておくより飲まれたほうが幸せだろうよ。

まあな。


…自分に負けたくない。だとよ。

ほんとひよこちゃん手に負えないなあ。

自分がライバルなんてすげえよな。

いつまでも終わらないレースをしてるようなもんだろ。

あの子はそういう子だから。

ああ。

ほんとうちの子は負けず嫌いていうか。
そういうとこほんとすごい好きなんだけど。
どこまでいってもあの子は掴めないし、追いつかない。


だから好きなんだろ?

というか尊い。

お互い様だろ?

ああ

ひよこベッドに寝かせてこないと。

僕がする。

どうぞ?

ひよこを横抱きにして部屋に連れていっているアルベルトをぼんやり見ながらひとりごちる。


手に負えない。飼い慣らし不可。
だからいいんだけど。

はあーあ。

ライバルが自分ってものすごく高い理想の持ち主だよなあ。俺も超えられない壁をあいつこえていくのか?…やっぱすげえやな。俺のバトン渡したやつは。










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