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Lyfgenia:lovotibeglogene autotemcel(bluebird bio社)

鎌状赤血球病治療のために承認された遺伝子治療薬Lyfgeniaについてのまとめです。2023/12までの情報で記載しています。


作用機序

Lyfgeniaは、患者自身の造血幹細胞(HSCs)に機能正常なβ-グロビン遺伝子を加えることで作用し、VOEsを解消し、SCDの根本的な原因に対処する一回限りの遺伝子治療です。

要は仕事をしない遺伝子があるから、正常な遺伝子(ちょっと違うけど)を導入してやろう!というコンセプトの薬です。

もう少し詳細に説明すると

  • 背景: 鎌状赤血球病は、β-グロビン遺伝子の変異により発生します。この変異は、赤血球が非正常な「鎌」の形に変形し、様々な健康問題を引き起こす原因となります。虚血おこして非常に強い痛みを伴う上、命にもかかわります。なお純粋な日本人はこの遺伝子をもっていないとされています。

  • この治療は、患者の血液幹細胞を遺伝的に変更し、HbA^T87Qという、成人ヘモグロビンA(HbA)に機能が似ている遺伝子治療由来のヘモグロビンを生成するようにします。HbA^T87Qを含む赤血球は、鎌状化や血流閉塞のリスクが低くなります。

  • 血液幹細胞の改変: 患者の血液幹細胞を外科的に抽出し、実験室でレンチウイルスベクターによって改変します。

  • 改変された細胞の再投与: 改変された血液幹細胞は患者に戻され、骨髄に移植されます。これらの細胞は正常な赤血球を生成し始め、鎌状赤血球病による症状の改善や予防に寄与します。

臨床試験と懸念点

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