「むかしのガッキー似の人をナンパした話〜後編」


我ながら、すごい勇気を出したと思う。

中身は (新垣さん。
私は 一目あなたを見た時から あなたという海
あなたの輝かしい海の中に 溺れていた。
あなたの波に揺られていた。
だから あなたが ここから立ち去っても
あなたの海に 飛び込みたい。
だから あなたがいるから 毎日笑顔になれてるんだ。
あなたのことが好きです。
もし よければ アドレスも書いてるので
こちらに この告白の 答えをください)

そう書いた紙を半分の半分に折って新垣さんのロッカーに入れた。

間違いなくロッカーの中だから 告白ポエムと
アドレス書いた紙とか見てくれるはず

一大勝負に出たけど、 次の日も
また、その次の日も 連絡は、なかった

しかし、そこから三日後、仕事部署において、臨時作業に約10人くらい
呼ばれて、あれだけ 大人数いる中で、 新垣さんと私が
神の導きか!?悪魔の采配か!?
隣どうしで仕事をする事になった。

何の気なしに
隣に来る 新垣さん。
胸がドキドキして
下駄箱に入れた紙切れについて
なんか言おうとしたが、恥ずかしくて言えない

そして まだ18歳の新垣さんも その紙についてはなにも言ってこない。
まるで その紙を見てないかのように
ごくごく普通に 私の隣で部品の貼り付け作業をこなす新垣さんだった。



告白ポエムの書いた紙切れのことが気になって仕事にもならない私。

休憩時間に思い切って、新垣さんの隣に行った私。

いつも以上に勇気が行った。
ドキドキが止まらない。

「隣良い?」 
私は ちょっと声を震わせながら新垣さんに言った。
「お疲れ様です。
どうぞどうぞ〜」

めっちゃ笑顔になって 私が座りやすくするためか
椅子をテーブルから後ろに引いてくれた。

「お邪魔しまーす」
と私は 新垣さんの方を見る。

黙って会釈をする新垣さん。

そして私は 他の世間話とか 話すより
単刀直入に新垣さんに質問した。

「お疲れ様。 そういえば、昨日 下駄箱に紙切れ入ってなかったかな?」
 けっこう不安がよぎりながらだが
新垣さんに たどたどしい口調で聞いた。

「そういえば、なんか入ってたと思いますが、なんか わからないから捨てちゃったかなぁ?
あれ?
なんか 私 入れたのかな?
なんか 疲れてたから 仕事場で 結局は不必要だった紙を下駄箱に入れたような気もするけど?? 
う〜ん どうだったかしら??」


なんと新垣さんは、内容を読んでない。

よかった〜 今更ながら 安堵する私。

なぜ安堵するかと言えば 
昔のラブレターみたいな いかにも(恋文)を書いて入れてしまったことは 我ながら キモかったと後悔してたからだ。

「じゃあ その仕事で不必要だと思ってた下駄箱に入ってた紙の内容とか 読んでないんだね?」

いちおう念押しな質問をした私。

「読んでませんよ  何か??」

きょとーんとしている新垣さんの顔が また 10代の頃のガッキーに 激似で ドキドキするほどだった。

その後
世間話的な話題で けっこう盛り上がった。


そして 新垣さんと会えるのは今日だけ、私は 渾身の勇気を出して ガッキーに、「今度 飯食いに行こうよ。僕 グルメな店なら誰よりも詳しいよ。」

と 自然な流れで デートに誘った。

「へぇ~! いいですね。是非とも行きましょう。 じゃあ 連絡先交換しましょう。」

なんと 新垣さん自らが私に アドレス交換を お、ね、が、い   してきた(内心 舞い上がる私)

新垣さんは なにやら連絡先を書くために
適当にポケットとかから
メモ用紙を探してるようだ。




私の心の奥の声(やった〜 自然の流れ的なのか わからないけど、ガッキーから連絡先交換を言ってきたぞ。
あの恋ポエム  
結局は 必要なかったわ。)

私もポケットから メモ用紙らしきものを取り出して

急いで連絡先を書いた。


新垣さんは、携帯を取り出して、ポケットから 紙切れを
取り出して、連絡先を書こうとしていたが…

その紙切れとは!
私が 数日前
下駄箱に入れた恋ポエムとか書いた紙切れだった!

「んん? この紙切れは? あれっ?
私に たいする  こ、 く、 は く ?

が………書いてある…てことは…私のあとを密かにつけてきて…下駄箱に これを入れといた わけね!?」

ガッキーは、一気に 眉が吊り上がり 軽く唖然とした表情になり 発する言葉が 
変なところで 区切り出しているではないか

恋ポエムを読み終えた 新垣さんは
漫画なら
確実に 大汗マークが 額に描かれるような表情をしていた。



「あわわわ…」
私は、思わず声に出ない言葉を出す。

「わかりました。とりあえず 気持ちは受け取ってます。また後日 連絡さしていただきます。」


結局 アドレス交換できないまま チャイムが鳴った。


キーンコーンカーンコーン!

その後
お互い仕事に戻ったが、昼からは
私は午前中してた部署での仕事となった。
新垣さんは
なぜか 他の部署の応援に行くようだった。




その日の夜 仕事後  新垣さんから返事はなかった



翌日も返事はなかった。

一週間後も 返事はなかった


もしかしたら、ガッキーから連絡先交換を促してきた時、あの紙切れを下駄箱に入れるというフライングをしなければ、新垣さんとデートできてたと思う。


ワンミスで恋愛は 負けに繋がるなんて……
まるで格闘技の試合と 同じだ


かなり 良いとこまで 行ったのに 格上の 若き新垣さんと結局デートできずで 終わった 自分だった。


劇終

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