エビデンスを求めて三千里、着太郎 (@192study) です。

新型コロナウイルス SARS-CoV-2 の残存時間に関する、医学雑誌で最も権威のある NEJM に2020年3月17日に掲載された論文「SARS-CoV-1 と比較した SARS-CoV-2 のエアロゾルおよび表面安定性」のデータの紹介です。

N. van Doremalen, et al. (2020)
Aerosol and Surface Stability of SARS-CoV-2 as Compared with SARS-CoV-1.
https://doi.org/10.1056/NEJMc2004973 (medRxiv)

論文は SARS-CoV-2 のエアロゾルと物質表面の安定性を分析し、最も密接に関連するヒトコロナウイルスである SARS-CoV-1 と比較しています。
実験は21〜23°C、相対湿度40％で7日間維持されたようです。

SARS-CoV-2 の減衰時間

エアロゾル　3時間で 12.5% に減少（「最長3時間」等の記述は誤り）
段ボール　24時間　1/1,000 に減少
プラスチック　72時間　1/1,000 に減少
ステンレス鋼　48時間　1/1,000 に減少
銅　4時間　1/200～1/300 に減少

SARS-CoV-2 の推定半減期の中央値

エアロゾル　1時間6分
段ボール　3時間28分 ※著しくノイズが多い
プラスチック　6時間49分
ステンレス鋼　5時間38分
銅　46分

エアロゾルおよびさまざまな表面における SARS-CoV-1 および SARS-CoV-2 の残存率

NEJM (The New England Journal of Medicine)

NEJM (The New England Journal of Medicine) はマサチューセッツ医学会が発行する週刊の医学ジャーナルで、医学領域でインパクトファクターが最も高い世界五大医学雑誌の筆頭 (IF=70.670) です。
The New York Times の記事によれば「2世紀に渡り世界で最も継続的に発行されている最も古い一般医学雑誌であり、最も権威のある」査読付き医学ジャーナルです。

日本語情報

人民網日本語版「新型コロナの感染性が強いのは、物体表面での生存期間が長いためか？」2020年3月13日 13:35
NHKニュース「新型コロナ「エアロゾル」で３時間生存 米研究グループが発表」2020年3月18日 09:23
AFPBB News「新型コロナ、固形物表面で2～3日生存可能 米研究」2020年3月18日 11:30
中央日報「新型コロナウイルス、空気中で３時間生存…エアロゾル感染の可能性」2020年3月18日 15:12
(坂本史衣) - 個人 - Yahoo!ニュース「結局のところ、新型コロナウイルス感染症は空気感染するのか？」2020年3月18日 20:38
CNN.co.jp「新型コロナウイルス、プラスチックなどの表面で最長３日間生存」2020年3月19日 16:50
AFPBB News「【図解】新型コロナウイルスの生存期間」2020年3月20日 12:04
日経ビジネス電子版（島津 翔）「新型コロナ、エアロゾルで3時間生存　厚労省「感染の証拠なし」」2020年3月23日
ケアネット（土井 舞子）「新型コロナ、エアロゾルで3時間生存可能／NEJM」2020年3月24日
日経メディカル（大西 淳子） 「物に付着したSARS-CoV-2の感染力持続時間」2020年3月27日
北里大学獣医学部・緊急特別セミナー（高野 友美）「動物とヒトのコロナウイルス～2019新型コロナウイルスの流行を受けて～」2020年4月1日