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身体と心の共振【体のバランス操作により美しい射形】

現在、私は弓歴11ケ月の後期高齢者として、新たな挑戦に臨んでいます。目標は、弓道の射法八節において「体のバランス操作により美しい射形」を追求し、射手が弓手と妻手の力を適切に分配し、調和のとれた姿勢で矢を放つ技術の最適化へと挑戦することです。これは矢の精度と一貫性を高め、弓道における美しい射を追求する上での根底となる概念と考えています。以下に、バランス操作の理念について学んだことを述べます。

射法訓は、毎回水曜日の朝に全員で唱和されます。

射法訓

『射法は、弓を射ずして骨を射ること最も肝要なり。心を総体の中央に置き、而して弓手三分の二弦を推し、妻手三分の一弓を引き、而して心を納む。是れ和合なり。然る後胸の中筋に従い、宜しく左右に分かるる如く、これを離つべし。書に曰く 鉄石相剋して火の出ずる急なり。即ち、金体白色 西半月の位なり。』

特に気になる箇所は『然る後胸の中筋に従い、宜しく左右にわかるる如くこれを離つべし』です。この部分では、「均等・バランス」という重要なワードが挙げられており、基本体型の中央に位置する胸の中筋より左右均等に分離することが強調されています。これは、身体のバランスと心技の一致を射手に求めていると理解しております。

射形において、大きく美しい打ち起こしを実現するためには、脇下の筋肉を効果的に活用し、肩の上がりを最小限に抑えることが欠かせません。この重要なテクニックを習得するためには、いくつかの注意点やポイントが存在します。

天を突き上げるようにする。打ち起こしでは、両腕や拳に力を入れないようにする。

まず第一に、脇下の筋肉を重点的に使って打ち起こしを行うことが重要です。これにより、肩が上がりにくくなり、よりスムーズで安定した動きが可能となります。具体的なアプローチとして、「天を突き上げるようにする」「打ち起こしでは、両腕や拳に力を入れないようにする」「軽く肘を曲げるようにしておく」など、脇下の筋肉を効果的に使うための動作に焦点を当てることが重要であると学びました。

また、打ち起こしの際には、右手優先で矢先が上がらないように意識し、弓を照らないようにすることが大切です。これにより、狙った方向に矢が進みやすくなり、的に正確に命中させることが可能となりますが、私にはまだ課題が多く残っています。

脇下を使って打ち起こしを行うと、足裏の重心がより乗った感覚が生まれ、呼吸が息苦しくなくなり、背中の筋肉が伸ばされるなど、身体全体での一体感を実感できるようになりました。この感覚を意識しながら練習を進めることで、打ち起こしの質が向上しています。

肩関節が上がらない場合には、「平たい△型」の打ち起こしをイメージし、意識すると効果的であると学びました。これにより、無理なく脇下の三角筋肉を活用し、肘下との角度を広げることが可能です。ただし、弓を上方に上げただけでは腕や肩に負担がかかる可能性があるため、正確な姿勢と共に脇下の筋肉を意識的に使うことが求められます。

このように、脇下の筋肉を活用し、慎重な意識と練習を通じて肩の動きを最小限に抑えることで、引き分けにつながる大きく美しい打ち起こしを実践・挑戦しています。

弓道で説く「バランス・均等操作」の原理は、物理的な力のバランスだけでなく、生体力学的な体の使い方と心理学的なバランスを含む複合的な技術と体得しました。

弓道における弓手と妻手の「バランス・均等操作」は、単に弓と矢を扱う技術以上の、深い心理学的および生体力学的要素を含んでいると考えます。これらのバランスをとることによって、射手は射法の精度を高め、弓道における「射道の美」を極めることと考えます。
77歳で始めた弓道ですが、心・身・弓の三位合一を目指し、精進したいと思います。


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