クニヨシ


目を閉ざし
起きているのか寝入っているのか
女性が一人
堅い椅子に脚を組んで腰掛け
これも堅そうなテーブルに肘をつき
ピンクと紫のあわい
薄いキャミソール姿で
時が零れていくに身を委せている
天井扇風機のモーター音にも
ラジオからの雑音に混じって
流れてくる物憂い曲にも
掻き消されずに
画面のこちらへ寄せてくるのは
異国や望郷といった言葉を
体現してきた彼女の
激しい静けさ

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