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「いくよ、フィナーレへ」セクサリス・サーガ完結記念、少女病特集vol. 2(メジャーデビュー以前編1)


はじめに

 今回からは来るべき新譜に向け、発行順にセクサリスサーガ作品について解説していく。今回はメジャーデビュー以前の作品について取扱う。ネタバレを避けるため物語の核心については触れないが、作品解説上どうしても拾わねばならない部分はあるので、これから聴こうという方は要注意だ。

・偽典セクサリス

オススメ度 ✩✩

 記念すべきセクサリスサーガ最初のアルバム。一作品目と言う事で、セカイ系の影響が強かったり、サンホラ一期のAramary似のナレーターがいたりと暗中模索の一品。
 特にサンホラからの影響がかなり出ている部分としては前述のナレーターと4曲目「空想白夜」が挙げられる。「空想白夜」に関しては、サンホラの「緋色の風車」の影響を受けている……と言うよりモロフレーズが借用されている部分がある。まあ借用元がガチの名曲なので気持ちは分かる。
 ここまで読んだ方は、まだ黎明期でとりあえずサンホラの後追いをした作品なのかな?と思われたかも知れないが、「星謡の詩人」「終わりの先の音節」「蒼を受け継ぎし者」の導入三本柱はメタル調、進行、言葉遊び等で少女病のなんたるかを既に成立させている。
 10曲目「Aingeal」に至っては言葉遊びの部分を極めながら、世界で最も美しい自○誘導ソングと言う独自のジャンルを形成している。7曲目「fly」と合わせて是非聴いてほしい。
 初手に聴く作品としては、入手難度と模索感が強い曲も多いためすんなりオススメ出来ないが、光る物も多く、セクサリスサーガの根底に関わる物語でもあるため、他作品を聴いてから戻ってきたい作品。

・覚醒ノエシス

オススメ度 ☆

 セクサリスサーガ初のシングル。模索中の印象があった偽典セクサリスと異なり、ややセカイ系の影響を残しつつも少女病のシングルとしては様式が完成している。
 アップテンポ曲×2からのバラードというシンプルな構成であり音楽的にはとても聴きやすい。ややオムニバス形式感が強かった前作に比べると一貫した物語を描いている。
 サンホラの影響からは脱している。というのも、前作ではAramary似のナレーションがあったのに対して、今作では客観的なナレーションではなく、登場人物側の語り中心の構成となっているためである。前述の一貫した物語と主観的な語りの導入から独自路線に舵を取ったシングルになる。
 まだ2作目であり、他作品との繋がりが薄いので初心者にもオススメできるにはできるが、一貫した物語を制作側で意識しすぎたのか正直曲単体だとあまり跳ねない。入手難度的にもオススメしにくいが作品全体の完成度は後発作品に引けを取らないので、安く手に入るならという感じ。

・葬月エクレシア


オススメ度☆☆☆

 同人2枚目のアルバム。RD-Sounds、見参。RD-Soundsに関して語ってしまうとそれこそ記事が複数書けてしまうので詳細な言及を避けるが、コンポーザー陣の層が厚くなり、やれる事の幅が増えた印象。
 「星降る夜……」「忘却の鐘が響く前に」「Sanctity」の流れは極めて強力であり、物語音楽界のバース掛布岡田と言っていい。この3曲で終わりかと思わせておいて、7曲目「廃墟に響く刹那の叫び」で確実に殺しにくる。
 総じてジャケットのイラストに反して攻撃一辺倒なアルバム。パワーが強すぎてバラード・しっとり系の曲もいい曲だがもはや霞んでいるため、バランスが悪い面もあるが、手っ取り早く音楽に殺されたい方にはオススメ。何故かはわからないが2022/6/7現在amazon価格が落ち着いているので是非。

次回vol. 3「メジャーデビュー以前編2」

https://note.com/19591969/n/naa82c10f4a4e

 
 


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