【雑感】2019年J2リーグ 第4節 対栃木SC

東京ヴェルディ 2-3 栃木SC

 再逆転を許しての敗戦に試合終了時、険悪なムードになった味の素スタジアム。この寂しい客入りのなかで虚しさばかりが残った。ただ、90分を通してみれば『追加点を取っていれば・・・』という一言では片づけられない両クラブの可変システムとシステム変更の面白さもあって、その内容を中心にこの試合を振り返ってみたい。

<スタメン>

 前節に今季初勝利を挙げたヴェルディはボランチを内田から梶川へ替えたのみで継続したシステムを採用。一方、未勝利の栃木は前節と同じスタメンで臨む。2009年ヴェルディで2トップを組んだ林陵平と大黒の対戦にもなった。

<ヴェルディ可変システム>

 ボール保持時、右SB田村+両CB近藤と平の3枚の最終ラインになり、左SB奈良輪がWB化する。栃木の両シャドー大崎と西谷和がサイドに張って守備に加えてプレッシングする場面もあり、左SH佐藤優平に加えて大外で幅を取る右SH小池”エーコ”も中へ絞ることが目立った。

左サイドの奈良輪-優平-端戸の連携による崩し、右サイド小池の単騎突破からのクロスと前節同様に左右サイドからの攻撃が再現性有り多くのチャンスを作ることが出来た。トップ・林陵平の動き出しを周囲の選手たちもよく理解出来ており、速いクロスにニアで合わせる形で2戦連発に繋がった。ただ、ネガトラ時に右SH小池が引っ張られて最終ラインに吸収されて5バックになる場面も何回かありコーチングやカバーをはっきりとさせる必要がある。

<栃木SC可変システム>

 対するアウェイ栃木は、前節横浜FC戦と同様に左CB温井がSB化して左WB西谷優希が高い位置を取り左肩あがりのシステムを採用。温井がパス供給源になり西谷兄弟をはじめとして左サイドに選手が流れ数的優位を作ろうとする傾向がある。栃木のストロングポイントである左サイドとヴェルディの連動性が取れていない右サイド守備の対面がこの試合のカギとなった。

得点場面を動画で振り返ってみると、両クラブともに目指している攻撃の形から結果が出せている。


DAZN中継のハーフタイム時の前半の選手平均ポジションを観ても分かる通り、両クラブともに可変システムを試みている。個と組織の質が上がっていけば面白く魅力ある攻撃が出来ていくと思う。(問題は守備だ!)

<栃木のシステム変更>

 1点ビハインドの栃木は70分すぎに久富と大島を2枚同時投入してシステム変更で流れを引き寄せる。

その狙いは次の3つを考える。温井が左CB⇔SBを務めていたから久富が入ってより4バックが明確としたこと、これまでシャドーにいたJ2屈指のドリブラー西谷和希が左SHへ入り質で勝負に出たこと、大島がシャドー(トップ下)に入ってPA内へ入っていく人数を増やしたこと。結果として、その左サイドからの攻撃が実って2ゴールを挙げて再逆転で勝利を掴みとった。


栃木の前節を観た時のツイートとおり悪い予感が当たってしまった・・・。

<まとめ>

 毎試合、いろいろな攻撃を仕掛けてくるホワイト監督。かなり引き出しは持っているような気がする。4バックから3バックの可変化でも同サイドに流動的に集まり数的優位を作ってみたり、昨年までの5レーンの原則に沿って選手たちも上手く位置を替えている場面も観られて上積み出来てきていると感じている。後半のチャンスを決めて楽な試合運びもしたかったけれど、2試合連続2得点決めている攻撃陣を責めることはあまり出来ないだろう。守り方の部分でどうしてもスプリント重視するため組織としてネガトラ強度を上げていくことや個人能力も問われてくると考える。この試合で右SBに要求される役割はCBの仕事もあった。スタメン選考においても単純にサイドバック選手を起用したら良いということでも無さそうだ。今年のヴェルディの戦術とは一体何か?が確定するまでに時間を要しているのか、柔軟な対応が出来るように仕込んでいるのか様子見をしたいけれど結果を要求される外野の目は厳しい。