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ともかくやってみよう。

 今回はDX(デジタルトランスフォーメーション)のお話です。
 よく相談頂くDXの進め方、少し認識がずれていることもあります。今回はそのような話です。

「DXを進めたいんです・・・」

 「我が社もDXを進めようとしています。DXを実現するためにまず予算を確保したいのですが、DXを実現するソリューションの提案と概算の見積もりを出してもらえますか?」
 という相談が度々あります。

 「何かを導入するためには見積もりを取らないといけないし、その費用対効果も出さないと稟議が書けない・・・」

 という話が背景にありそうですが、このお話DXの進め方としては正しくありません。

 なぜ正しくないのでしょうか?

どんなところを変革したいのか?

 この相談の場合、何か手段を入れれば変革が起こり目的が達成できる。という流れになります。
 つまりは「仕組みを導入さえすれば会社や働く現場、お客様の変革が起きる。」ということになります。

 また、変革が起きるとした場合にどんな「変革」を起こすのか。「目的」が最初から曖昧になっています。

 みなさまもどこかに旅行に行く場合、旅行先の目的を選定するでしょう。
 観光をしたいのか、体験をしたいのか、グルメを満喫したいのか・・・様々な「目的」があるでしょう。
 その目的を達成できる場所を「目的地」とし、その上で「手段」を選んでいきます。移動手段は電車?バス?飛行機?車?、週末?平日?、どんなメンバーで?

 様々な手段を選ぶことになります。

 先ほどの例の場合は、先に「電車のチケットを買いたいんです。いくら位お金を用意すれば良いですか?」という問いかけと同じです。

 「どこに行きたいんですか?そもそも行き先が分からなければ金額が出せませんよ?」「移動時間はどの位が理想ですか?駅からの移動はどうされますか?」という質問をしていくしかありません。
 また、目的地もその地に行って何をするのかも分かりませんので、行き当たりばったりの旅行を組むことになります。

 「札幌行きのチケットは買ったけど、何をしにいくんだろう?」
 「でもきっとチケットは手に入れた訳だから目的を達成できるよね?」

 ・・・では、移動手段を手に入れただけに過ぎませんから目的を達成できる。
 ということは言えないのです。

まずは「目的」を明確化する。

 DXを進める上で重要なのは、「目的の明確化」です。

 「札幌でジンギスカンを食べたい。」

 という目的が最初にあれば、そのジンギスカン屋さんまでの行き方を探し、宿泊が必要であれば宿も予約します。旅程が週末で済めば休みを取る必要はありませんが、少し長期で行きたいのであれば、会社に休暇届けを出す必要もあります。

 「目的」がはっきりしたからこそ、その目的を達成するための「手段」が次々と出てきます。これらの手段を合わせて見積もってほしい。であれば、正確な見積もりも、その目的を達成するための計画もできるのです。

大きな「目的」達成では難しい。

 この「ジンギスカン」が「札幌中のグルメを食べ歩きたい。」に変わったらどうでしょうか?札幌中と言っても広く、何を食べるのか。という抽出も難しくなります。海鮮ジャンルだけでもさまざまなグルメが札幌には存在します。当然、移動手段も様々検討が必要になります。また、自分が食べられるキャパもある訳です。

 つまりは、「目的」が大きくなりすぎると「手段」の検討も、その手段を使うことも非常に大変になってしまいます。計画をしっかり立てることもできず、ざっくりと大きな予算を取りつつ・・・なんてことになります。
 つまり、目的が大きくなりすぎるとぼやけてしまい、どんな手段が必要なのかもボヤけてしまうのです。
 「グルメ三昧の良い旅」にするためには一つ一つ目的を細分化し、「手段」を考える必要があるのです。

ともかくやってみよう。

 細分化した「目的」を元に「手段」を次々と考え実行をする。
 DXにおいてはこの進め方が最適です。

 最初は小さい目的を次々と達成すると、やがて大きな結果に繋がります。
 ただ闇雲に小さい目的を叶えていく。では、最後に出てきたものもまとまりがなく、本当にやりたかったこと。が曖昧になりがちです。

 「札幌のグルメを満喫したい」が最終ゴール

 「まずは美味しいジンギスカンを食べたい」が、細分化した目的

 であれば、今回の計画はジンギスカンを食べること、次回以降に海鮮やラーメンなど様々なグルメを計画することができます。この細分化された目的を総合すると「札幌のグルメを満喫したい」目的が達成できるようになります。

 「札幌のグルメを満喫するため生涯の計画を今立て、その全ての予算をまずは準備する。」

 では、お金が貯まるまで実行されないですし、生涯となると、途中で環境や目的にブレが出てしまう可能性もあります。

 「札幌グルメを満喫するためにまずは来週札幌の旅行をしよう。」
 ここから進めて、この旅行が終わったらまたグルメを満喫できる目的を検討し実行する。
 この小さな目的から「ともかくやってみる。」ことがDX推進には必要になってきます。

 みなさまのDXにおける「最終ゴール」と「細分化された目的」はどんなものでしょうか?

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