ナイジェリア選抜の挑戦〜人生で数少ないチャンスをモノにするために〜

3年前、リオ五輪で日本がナイジェリア代表に負けた時、次の日にJリーグの常務に呼ばれて日本が勝つにはどうしたら良いと思う?と聞かれた。

簡単です。若いうちからアフリカンとの対戦経験を増やすべきです、と。

例えば、アフリカンのあの足の長さで思わないレベルで、最後にスッと伸びてくる。そういう間合いの経験とかフィジカルの強さとか、経験なしでいきなり対戦するとキツい。

でも、分かれば日本は対応力は高いと思う。
だから、早いうちにから経験を増やすべき、と。

遠征でちょっと欧州行く、なんて経験してもすぐ忘れちゃう。だから僕がナイジェリア選抜を2ヶ月くらい連れてきますよ、と。

それから3年経ち、U12のナイジェリア選抜を連れてくる機会に恵まれた。
現在、開催中のワールドサッカーチャレンジにナイジェリア選抜を連れてきている。

ナイジェリア選抜といっても私とバヨで経営するナイジェリア・ラゴスを拠点にしたイガンムFCの周辺の選抜で、日本でいうと、東京都足立区選抜みたいな感じ。

貧困地域でもちろんパスポートは誰一人持っていない。申請しに行くと、人身売買防止のため親のパスポートも必要と言われ、親のパスポートも申請すると、今度パスポートの冊子が在庫切れと言われる。
本当にギリギリまで日本に連れてくることができるかわからない状態で、大会サイドには本当に心配をかけてしまいました、すみません。

大会に参加予定だったアデオラは飲酒運転による交通事故で亡くなった。来日、世界のエリートチームとの対戦、そして、自分の未来を切り拓くまたとないチャンスに心を踊らせ、同時に緊張していたとのこと。
想像すればするほど言葉が出ない。心が張り裂けた。知人の支援で彼の写真をすね当てにしてみんなで一緒に戦っている。

日本滞在は友人知人が宿泊、食事、バスをサプライしてくれた有難い。でも、チケットがギリギリになったので、航空券は約500万円。

当時のJリーグ常務に提案した経費日本持ち、スポンサーフィーももらう、ではなく1番貧乏な国なのに、1番経費がかかってしまって苦しんでるけど、、、笑

でも、泣いても笑っても今日が最後。

運良く、ベルマーレ、サガン鳥栖がいる予選を勝ち抜き、ベスト8ではバイエルンミュンヘンをなぎ倒して準決勝まできた。

他のチームとは選手達のこの大会にかける思いの基準が違う。

日本もドイツもスペインも中国もタイもチャンスは沢山ある。今回ダメならまた次が、と。

でも、ナイジェリアの選手達にとって、チャンスは日常にない。

大袈裟ではなくて、人生の中で、チャンスはそんなに多くない。

選手達の人生を大きく変える可能性のある1日。

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