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ミスチル歌詞から紐解く 全曲解説 19thアルバム「重力と呼吸」[Your Song]

19thアルバム「重力と呼吸」の最初の曲であり、リード曲でもあります。歌詞全文引用します。

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花吹雪が舞うような 

きらめく夏のひざしのような

時は過ぎ

華やいでた想い出も

少しだけ落ち着きを取り戻した

君と僕が重ねてきた

歩んできた たくさんの日々は

今となれば

この命よりも

失い難い宝物

ふとした瞬間に同じことを考えたりして

また時には同じ歌を口ずさんでたりして

そんな偶然が今日の僕には何よりも大きな意味を持ってる

そう君じゃなきゃ

君じゃなきゃ

苦手意識を持ってた

食べ物もスポーツも堅苦しい場所も

君が薦めるんなら無理なんかせずに受け入れることが出来たんだ

時に僕が窮屈そうに囚われている考えごとに

なんてことのない一言で この心を自由にしてしまう

飛び込んでくる嫌なニュースに心痛めて

また時にはちっちゃな事で笑い転げて

一緒に生きていく日々のエピソードが特別に大きな意味を持ってる

そう君じゃなきゃ

君じゃなきゃ

ふとした瞬間に同じこと考えたりして

また時には同じ歌を口ずさんでたりした

そんな偶然が今日の僕には何よりも大きな意味を持ってる

そう君じゃなきゃ

君じゃなきゃ

そう君じゃなきゃ

君じゃなきゃ

<出典>Your Song/Mr.children 作詞:桜井和寿

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桜井さん曰く、「重力と呼吸」のタイトルに関して、秋元康さんがやっていることと変わらないと思う(笑)。えっ、こんなタイトル?って引っかかるもの。「サイレントマジョリティー」みたいな相反する言葉を合体させることで奥行きを持たせて、人の心に引っかかるようにしたかったと。

冒頭の叫びに関して、より瑞々しく、より青臭く、そして透き通っているように聴こえてほしかった。怒りでもなく、悲しみでもなく、喜びの叫び。今こうしてバンドで音を鳴らせて、しかもまだ、心の中に叫びたいものを抱えているミュージシャンであり得ている事への喜び・・・そんなふうに伝わったらいい。

年齢を重ねて肉体的に消耗していくことの自覚がありながら、でもひょっとしたら、10年前よりも早い直球を投げられているなんじゃないかという自信と喜びというか。『Thanksgiving 25』(ミスチル結成25周年スタジアムツアーの事)のライヴに向けてそれぞれが感じていた自分たちの限界、俺らもうできないんじゃないかと思ってたことをクリアできた自信と喜び。

この曲のタイトルは?という質問に対し、桜井さんは、シンプルですと。一人のパートナーに向けてのラヴソングとして書いている。この曲が生まれた経緯は、レコーディングディレクションに入っているスタッフが、ある程度アルバムの曲が出そろった時に、もう一曲物凄くシンプルで捻りのない曲どうですか?って言われて、僕の中ではシングルになりそうな曲はもう十分作っているよって思ったんだけど、負けず嫌いだから作ってやろうと。ロビー・ウィリアムスの「She's The One」がもの凄くシンプルだからこそ好きな曲であって、こういうアプローチがあるのかと思った。別に曲や歌詞が似ているのではなく、たった一人のために歌うものすごくミクロなことがマクロになっていく、そういうポップソングのすごくいい部分を感じて、ヒントを得てつくったところはあると。ただ、デモはみんなに評判が良かったけれど、自分的には、捻りがなさ過ぎて自信が持てなかった。でも、でも今回は、歌をどう伝えるかというよりもバンドをどう伝えるかの方が凄く大きかったから、とにかくバンドを強く、音を強くって事に重きを置いて作っていった。この発言からもわかりますし、ご本人も述べていますが、ミスチルは一見、桜井さんのワンマンバンドのように捉えられることが未だにあるが、決してそんなことはなく、メンバー全員が納得しない限り進んで行かないとのこと。ある意味面倒ではあるが、逆に皆の総意があって事が進むので、ソロには出せない力になる。特にライヴではCDを凌駕するような本気の叫びを聴くと、もの凄い説得力があって、バンドの強さがカッコイイって最近は思い始めていると。

最後に私が一番印象的だった歌詞は<今となれば この命よりも 失い難い宝物>です。結構べたなフレーズですが、かなり瑞々しい曲調の前半でこの歌詞が出てきたときに、突如、かなり想い強いラヴソングだと認識しました。バンドの音として強くというイメージに沿うのに、歌詞に重みを持たせたのかなと思う次第です。ライブ映像での叫びは必見ですよ。まじっす。


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