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VA-11 Hall-Aをやってみた

その日、ネットゲームで知り合った人と某場所で初めてPUBGをプレイする事となった。プレイしたPUBGを紹介するべきなのかもしれないが、デスクトップにあったVA-11 Hall-Aを見た時の彼の言葉が『大人が夜に楽しむ作品』とのことだった。興味を引かれて数日後に購入し、実際にプレイしてみた。ビジュアルノベルゲームらしいのだが、私からするとその手の奴は選択肢を選んでエンディングが変わる単調なものばかりと思っていた。しかし、VA-11 Hall-Aは違った。

バーテンダーである主人公ジルは、様々なお客が注文した酒やカクテルを出していくことで物語が進み、分岐する。注文通りやっていけばいいと思うが、難題な注文をふっかけてくる奴もいる。混乱することが多々あったし、ミスもあった。しかしこれが不思議と面白くてしょうがないのだ。

カクテルを作るのは表示されるレシピ通りに入れれば出来るので酒の知識が無くても楽しめるし、大抵はレシピ通りで大丈夫。しかし間違った物を提供すると間違いであると言っても飲んでくれる(無論、代金は貰えないが…)し、むしろタダ酒にありつこうとするやつもいるのだ。間違うことも楽しむことが出来る作品は中々ないだろう。さらにジルの周りや、バーに来る人たちとの出会いがとても面白い。謎が多い同僚、元プロレスラーの女上司、ブロンドのおっぱいハッカー、都市の女保安官とその友人、ちょっとアレな商売をする少女型アンドロイド(リリム)、喋るコーギー犬、瓶づめ脳みそ…と個性豊かなメンバーである。そんな個性的なメンバーから様々な事を聞ける。情勢やら仕事の話は勿論、よく分からないけど嬉しい事で笑っていれば、セックスの悩みでため息と愚痴を漏らし、過去や将来への悲しみや苦しみの感情が口から溢れてしまうこともある。それがバーに来る者に起こっていて、主人公のジルもその一人である。

「一日を変え、一生を変えるカクテルを」

これはジルの一日の始まりに言う言葉であるが、この言葉通りに1杯のカクテルで彼らの辿る道が変わっていく。それが正しい道か間違っているのか分からないが、『自分は酒を提供しただけで選ぶべき選択をしたのは彼らなのだ』と私は思っている。そうこうする内に1週目が全然悲しくないバッドエンドで終わっていて、気が付けば2週目に手を付けて、すっかりドット絵のサイバーパンクの世界に魅了されていた。

これが『大人が夜に楽しむ作品』と彼は言っていたのも納得がいく。子供が寝る前に読む童話の様に、誰もが幸せになってハッピーエンドというわけではなく、誰もが幸せも不幸もありながらも前に進んでいる一生の断片だからだ。そんな彼らの行く末がもし気になるのならば、ぜひ購入してプレイしてほしい。

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