納めてきたはなし

~納めをこのところたくさんしている。
大学生活の記憶は至る所にあるが、寂しいというよりはどこか晴れやかな気持ちの方が大きい。4年間住んだこの場所は恐らく人生の中でも大切な場所になるだろうし、数年後また来た時に「懐かしい」を連呼している様子も容易に想像できる。地元とは違うもう一つの愛着のある場所が出来るのは人生でも初めてであるし、どこか気恥ずかしさがあるのはなぜだろうか。

まずはラーメン納め。大学の最寄り駅にある豚骨ラーメン屋。匂いが強烈で、嫌いな人も多いお店なのだが多くの男子学生が通う店だ。愛媛には豚骨ラーメンの文化があまりないために、ここまで強烈な豚骨ラーメンは大学生になって初めて食べた。最初は高菜を入れないと匂いに耐え切れなかったが、いつの間にか慣れ、足繫く通うようになっていた。愛想のない店員にも慣れたし、匂いにも慣れたのは4年という時間の経過によるものだろう。

そして旅行納め。最後の旅行は九州だった。社会人になったら当分旅行にも行けないだろうしと思うとかなり寂しくて、社会人となり全国に散り散りに就職することを現実のものとして嚙み締めた感じがした。それは苦いものであることは確かなのだが、それを望んだのも自らであり、その矛盾するような心情が同居しているのは変な気分。人間って面倒だ。

次は競馬・サウナ納め。大学生になってから、阪神競馬場に行くようになった。競馬なんてというイメージが最初はあったが、馬が近くを走る迫力はとてつもなく、予想して答え合わせをするのはかなり自分の性に合っていた。そしてサウナ。サウナがなければどこかで何かしらの自分の中の爆弾みたいなものが爆発していただろう。自律神経を整えて、すっきりリセットできるサウナはこれからも通うことになりそうだ。地元でもいくやろなぁ。

まだ卒業式もあるし、完全に納め切った気はしないけれど、思い浮かんだものは一つ一つきっちり納めていきたい。そうすればいずれまた再会したときに大切にできる気がする。「懐かしい懐かしい」、数年後のたった10文字のために、私は4年間過ごしたこの場所と丁寧にお別れするのだ。

おわり

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