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【徹底解説】資本性ローンってなに?

2020年の二次補正予算で「資本性ローン」という言葉が出てきました。政府系金融機関に活用を促すとか。これはいったい何なのか、解説してみました。

返さなくていいお金?ではない!

資本性ローンというのは、会社の借入金です。純然たる借金です。一部のサイトには返さなくていいお金だとか書いてありますが、誤りです。

ただし、資本性ローンには、普通に銀行や公庫から融資を受けるのとは違いがあります。それは、「対銀行取引上、資本とみなされる」ということです。

対銀行取引上、資本とみなされるってどういうこと?

会社は、複式簿記という方式によって日々の経理を行っています。複式簿記というのは、会社がどうやってお金を集めてきて、どのように運用しているのか、その運用の結果売上がどれだけあって、利益がどれだけ残ったかを示すものです。

この複式簿記の仕組みの中で、「どのようにお金を集めてきたのか」を示すものが、「負債及び純資産」と言われる項目なのですが、ここには大きく分けて

純資産・・・自分で集めてきたお金(資本金や内部留保)

負債・・・他人から集めたお金(借入金や買掛金)

があります。銀行が審査をする際には、負債が多すぎないか、資本が少なすぎないかということがチェック項目の一つにあります。そりゃあ、自分のお金で商売をやってる人と、借金やツケ払いに頼りながら商売している人とだったら、後者の方にお金貸したくないですからね!

で、借入金というのは既に述べたように負債としてカウントされるわけですが、この資本性ローンは不思議な性質を持っていて

複式簿記で経理する上では負債としてカウントするが、銀行が審査する時には負債じゃなくて資本としてカウントしていいよ、というルールがあるんです。これが、「対銀行取引上、資本とみなされる」ということの意味です。

負債が多くて資本が少ないと銀行の審査上、不利になるのに、負債を減らして資本にプラスしてくれるなんて、嬉しいローンですよね!

返さなくていいのではなく、期限一括返済

よく資本性ローンは「返さなくていい」という言い方がなされていますが、これは月々の元金返済がない、という意味です。利子は毎月取られますし、返済期日には全額一括返済が要求されます。1,000万円借りたら、返済期限が来たら耳を揃えて返せと言われます。

恐ろしいローンですが、資本性ローンを取り扱う公庫の現場では期限が来たら普通のローンで借り換える、という対応がされています。

ただし、借り換えローンの審査が通らなかったら・・・恐ろしいですねえ。

資本性ローンは審査が通りにくく、金利も高い

資本性ローンは他にも、普通の借入金とは異なる特徴があります。

まず、金利設定。晴れた日には傘を貸し、雨の日には取り上げると言われているように、銀行は通常、儲かっている会社ほど金利が安く、苦しい会社には金利が高いものです。公庫でも基本的に同じスタンスですが、資本性ローンは逆に、儲かったら金利が上がり、儲からないと金利が下がるという性質があります。

例えば、この記事を書いている時点で、日本政策金融公庫のウェブサイトを見てみると、資本性ローンの金利は、儲かっている場合(売上高減価償却前経常利益率5%以上)なら、最高6.20%、儲かっていない場合だと最低で1.05%の金利です。

他にも、法的倒産において優先債権と一般債権の全てが弁済されないと弁済を受けられない「劣後性」という特徴があります。つまり、貸す側にとってはリスクが高いローンです。そのため、審査は厳しく金利も高いという特徴があります。

資本性ローンを使うべきタイミング

こうした特徴があり、決していいところばかりではない資本性ローンですが、このローンを借りるべきタイミングというのはどこにあるのでしょう?

資本性ローンを使うべきタイミングは、資本(自分で集めたお金)が足りないが、今後、会社が儲かる見通しが立っている時、です。特に、大規模災害によって大きく損失を出してしまったが、今後営業を再開すれば利益がたくさん出る時こそ、資本性ローンを使って運転資金や設備資金を確保し、打って出る時です。会社が儲かるので金利は高くなってしまいますが、金利を利益で吹っ飛ばせるほど商売をすればよいのです。そういうタイミングで利用するのがベストでしょう。

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