メモ:80年代以降の少女漫画史(『りぼん』を中心に)

少女漫画史は、「24年組」、「乙女ちっく」などと、70~80年代初頭までは割と評論家が歴史化してくれているので、それ以降どうなっているのか知りたくても、意外に分からない。しかし、ネット上の記事やつぶやきを統合すると、おぼろげながら分かってくる。特に、『りぼん』がどのような道を辿ってきたのかは、かつての、あるいは現役読者の証言がけっこう出て来るため、浮かび上がってきた。矢沢あいの革新性を褒める記事で、『りぼん』時代の矢沢あいが語られるとき、当時の『りぼん』のことも語られていたりする(「250万乙女」の時代だったらしい.。1993年に発行部数が255万部に達し、これが『りぼん』のピークだったようだ。)。参考になりそうな記事を貼っておく。

記事やネット上の証言を踏まえて80年代初頭以降の流れを書くと、以下のようになる。

池野恋『ときめきトゥナイト』の時代(83年~90年前後。岡田あーみんも同時期。一条ゆかりもいる)→250万乙女の時代(80年代後半~90年代前期)→矢沢あいの時代(『天使なんかじゃない』。しかし短期間)→種村有菜の時代(90年代後半~2012年頃)→『猫田のことが気になって仕方ない』の時代(2013~2016年。村田真優も人気になりつつあった)→村田真優『ハニーレモンソーダ』の時代(2015年~)

250万乙女の時代は、柊あおい『星の瞳のシルエット』、椎名あゆみ『ベイビィ★LOVE』などが彩る。80年代後半のさくらももこ、水沢めぐみ、90年代の、吉住渉『ママレード・ボーイ』、彩花みん『赤ずきんチャチャ』、小花美穂『こどものおもちゃ」等も重要。

2000年代だと、藤井みなほ『GALs!』や槙ようこ『愛してるぜベイべ★★』などがある。2000年代の種村有菜の代表作は、『満月をさがして』なのか、それ以外なのかは見解が分かれそうだ。

90年代『りぼん』は全盛期の割にファンに囲い込まれている感じなので、これからもっと言説が増えると新たな切り口が生まれる分野かもしれない。

・その他

『りぼん』だけでは捉えきれない部分もあるので、『なかよし』の流れも書く。こちらはアニメ化が成功しているものが多く、アニメ史に沿う部分が大きい。

『キャンディ・キャンディ』の時代(70年代後半)→『おはようスパンク』『きんぎょ注意報』的な、かわいい絵柄路線?(80年代)→セーラームーン時代(90年代、ここでそれ以前との断絶?CLAMPの時代でもある)→外部作家時代(2000年代以降)

まいた菜穂は『なかよし』増刊号でデビューしているが上手くいかず、『ちゃお』で再デビュー。『12歳。』でヒット。『なかよし』から『ちゃお』へ、何かしらの要素(『きんぎょ注意報』的なもの?)が受け継がれている可能性がある。

『りぼん』卒業者を『Cookie』は狙い、『NANA』でそれに成功するが、『NANA』以外で『りぼん』卒業者を獲得することはできなかったようである。『なかよし』卒業者をピンポイントで狙った雑誌はないが、同じ講談社の『Kiss』(例えば『のだめカンタービレ』)や『Belove』(例えば『ちはやふる』)が成人女性読者へのアプローチに成功しているようである。



よろしければサポートお願いします。サポートで本が買えます、勉強が進みます!