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20180503社説から見る現代日本

おはようございます。

現行憲法の施行を記念した祝日である憲法記念日である本日(5月3日)は、全紙で憲法関連の社説が展開されています。

各紙社説の主要部分を以下引用しております。

日経:「きょうは憲法記念日である。改憲、護憲両勢力はそれぞれ集会を開き、気勢をあげる予定だ。そのことに意味がないとは言わない。だが、非難の応酬合戦がよりよい日本につながるとも思えない。同じ目線で話し合う土俵をつくれないものだろうか。

(中略)国会における憲法論議は、2000年に設けられた憲法調査会、07年にできた憲法審査会を通じて少しずつ進んできた。与野党双方の憲法族と呼ばれる議員同士の相互信頼があったからだ。

安倍政権はこうしたパイプを壊してしまった。本当に改憲を望むならば、新提案にこだわらず、与野党の声に幅広く耳を傾ける姿勢を示すべきだ。いま求められるのは地道な環境整備である。」

読売:「日本を取り巻く国際情勢は劇的に変化している。日本社会は急速な少子高齢化や技術革新に伴う諸課題にも直面する。終戦直後に制定されたままの憲法では、対応しきれない事態や新たな課題も生じている。憲法は国の統治の基本を定めたルールであり、不断に見直していくことは当然だ。

(中略)憲法改正には、衆参各院の3分の2以上の賛成による発議後、国民投票で過半数の賛成を得るという高いハードルが待ち受ける。野党も含めた幅広い合意形成を図ることが、世論の支持を広げるうえで重い意味を持つ。(略)諸外国は憲法の規定を、国内外の実情に合わせて常に見直し、機能させるよう努めている。

国民が憲法改正を実現する意義を理解し、現実にそぐわない部分を手直しするのが望ましい。着実に議論を重ねたい。」

産経:「平和のために国が防衛力を活用する場面はあり得る。必要なら仲間の国同士で守り合う。そういった世界の常識を、国民が共有することに資するだろう。もとより平和主義とは十分両立する。9条の下でとられている「専守防衛」は本土決戦にも等しいおかしな方針だ。今の憲法は自衛隊による拉致被害者の救出を阻んでいる。そうした問題に気づく人が増えれば政策転換にもつながる。

もう一つの大きな意義は、国民投票の力である。中国や北朝鮮などの動向をみれば、自衛隊が国民を守る戦いに従事する可能性を否定できない時代になった。国民投票で憲法に自衛隊を明記することは、命をかけて日本を守っている自衛隊員を国民が支える意思表示となる。隊員の士気と日本の抑止力を高めるものだ。

だからこそ、安倍首相と自民党は、憲法改正の実現に向けて歩みを止めてはならないのである。」

毎日:「国会には立法機能と政府の創出機能がある。同時に国会は行政を監視し、広範な合意に導く役割を併せ持つ。国会が権力闘争の場であることは否定しないが、現状は政権党が政府の下請けに偏り過ぎている。

(中略) 冷戦前、国連の集団安全保障が機能する前提で生まれた憲法9条と、現在の国際環境を整合させるために議論をするのはおかしくない。

しかし、本当に国民の利益になる憲法の議論は、健全な国会があってこそ成り立つものだろう。敵と味方を峻別(しゅんべつ)するあまり、客観的な事実の認定さえ受け付けない現状は不健全である。まずは国会が首相権力への統制力を強めるよう求める。」

朝日:「そもそも憲法とは、国民の側から国家権力を縛る最高法規である。行政府の長の首相が改憲の旗を振ること自体、立憲主義にそぐわない。

それに加え「安倍1強政治」のうみとでもいうべき不祥事が、次々と明らかになっている。憲法の定める国の統治の原理がないがしろにされる事態である。とても、まっとうな改憲論議ができる環境にない。

(中略)いま首相が全力を尽くすべきは、一連の不祥事の全容を解明し、憲法に基づくこの国の統治の仕組みを立て直すことだ。それなくして、今後の政権運営は立ち行かない。」

<社説一覧>
日経:改憲の実現にはまず環境整備を
http://www.nikkei.com/news/editorial/

読売:憲法記念日 自衛隊違憲論の払拭を図れ
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/

産経:憲法施行71年 「9条」では国民守れない 平和構築へ自衛隊明記せよ
http://www.sankei.com/column/newslist/editorial-n1.html

毎日:引き継ぐべき憲法秩序 首相権力の統制が先決だ
https://mainichi.jp/editorial/

朝日:安倍政権と憲法 改憲を語る資格あるのか
http://www.asahi.com/news/editorial.html

※『社説から見る現代日本』マガジンhttps://note.mu/1minute_history/m/m70d97edb0376

※『1日1分歴史小話』マガジンhttps://note.mu/1minute_history/m/m7db9a358d26a


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