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0052-20171001【ビジネスパーソン必読の主要ニュース解説】

今週の振り返り、時事ポイントは以下の6点です。

1.ドイツ連邦議会選挙結果 2.衆議院解散・総選挙 3.フランス上院選挙結果 4.米国の税制改革 5.英・EU離脱交渉 6.東芝再建問題

1.ドイツ連邦議会選挙結果

9月24日(日)に投開票されたドイツ連邦議会選挙は、メルケル首相が率いるキリスト教民主/社会同盟(CDU/CSU)が第一党の座を保持しました。

昨年の英国EU離脱国民投票における離脱派の勝利、米国におけるトランプ大統領当選に続き、今年は欧州で大型選挙が予定されていたため、大衆迎合主義(ポピュリズム)的な結果となるのではないかと懸念されていました。

オランダの議会選挙では、自国への反イスラム・反移民を掲げる極右政党が第二党に躍進するも中道派が政権を維持しました。

フランス大統領選挙でも、極右政党のルペン氏が決選投票まで進んだものの中道派であるマクロン候補が勝利しました。

ドイツは、メルケル首相が好調な経済と米国などに対してモノ言う姿勢から堅調な支持率を維持しており、他国と異なり無風の選挙となるように思われていました。

メルケル首相は確かに第一党の座を確保し、過去12年に引き続いて4選目の政権を担うことを決めましたが、圧勝とは言えない結果に終わりました。

全709議席中、メルケル首相率いる「キリスト教民主/社会同盟(CDU/CSU)」の獲得議席は246議席に留まり、過半数を押さえられませんでした。

選挙前は、第二党である社会民主党(SDP)と連立を組んでいましたが、選挙戦に入る前に連立解消が唱えられていましたので、メルケル首相は、別政党と連立交渉を行う必要があります。

選挙後の議席数は以下の通りです。

CDU/CSU:246
SDP:153
AfD:94
自由民主党:80
左派党:69
緑の党:67

過半数は355議席となるため、109議席足りません。SDPを除くと、どこか他の二政党と連立を組む必要があるため、自由民主党と緑の党と交渉を行っています。

今回の選挙の最大の特徴は、「AfD(ドイツのための選択肢)」という右派政党が得票率を伸ばし、一気に議会第3党に躍り出たことです。

ドイツ連邦議会において右派政党が議席を獲得することは第二次世界大戦後初のことです。

AfDを欧州他国の極右政党は自分たちの仲間だとみています。

フランスの極右政党のルペン党首は選挙後ただちに、AfDの躍進に対して祝意を表しました。

ドイツは第二次政界大戦前にナチスの台頭を許した経緯から過去、中道系政党であるCDU/CSUとSPDの二大政党が第一党の座を争う構図でした。

今回の選挙で、この二党には1949年以降で最低の得票率を記録する一方、AfDと左派党のポピュリズム的な主張の強い党それぞれが獲得議席を伸ばしました。

特にAfDは、2013年の欧州連合(EU)内部におけるギリシャ救済問題などにドイツ国民の税金が使われていることへの反対勢力として出発します。

その後2015年に急増した中東からの難民問題が宗教対立や民族対立をドイツ国内で引き起こすことになり、AfDは、欧州統合への懐疑と反移民政策を唱える政党として、ドイツ議会の一翼を担う政党へと成長することになりました。

メルケル首相が引き続き政権を担うとはいえ、ドイツ政治や欧州統合の行方は選挙前よりも不安定さを増したといえます。

2.衆議院解散・総選挙

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