#0030【マンデラ(南アフリカ、20世紀後半)】

こんばんは! 1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。

今週最後は、南アフリカ共和国のネルソン・マンデラです。彼はアパルトヘイト政策への反対闘争の戦士として活躍し、南アフリカ最初の黒人大統領となりました。

マンデラは1918年7月にテンブ人の首長の長男として誕生します。少年時代から部族社会の反英闘争の歴史を学び、首長としてのリーダーシップ、寛容の精神を養いながら育ちます。

1944年にアフリカ民族会議(ANC)に入党し、その青年同盟を創設してリーダーの一人になっていきます。

1948年に南ア政府は白人優先主義のアパルトヘイト体制を急速に強化していきます。その過程でANCは従来の柔和方針からデモやストライキに軸足を移す強硬方針が求められるようになります。

1949年にANC指導部から穏健派が退出し、若いマンデラなど強硬派がリーダーシップを取るようになりました。

以降、マンデラは反アパルトヘイト運動の先頭に立つようになります。彼の活動は政府から疎まれ、1956年には国家転覆罪で逮捕されて裁判になりました。

裁判では無罪となったものの、アパルトヘイト政策自体が否定されたわけではありません。1960年3月に69人が犠牲となったシャープビル虐殺事件を受けて、南ア各地でデモが行われます。政府は抵抗運動を弾圧し、同年4月にはANCを非合法化します。

ここに至ってマンデラは武力闘争に舵を切ります。地下に潜行し1961年6月ウムコント・ウェ・シズウェ(民族の槍)を組織し、その軍事司令官となりました。1962年には国外へ脱出し、アフリカ各国へ支援を要請していきます。その足はロンドンにまで伸びます。

モロッコとエチオピアで軍事訓練を受けたマンデラは秘密裡に南アに戻りますが、南ア当局に把握され逮捕されてしまいます。1964年、国家反逆罪として有罪判決となりました。マンデラ自身は死刑も覚悟していましたが、終身刑を宣告されます。

逮捕から釈放までの27年の長きにわたって獄中生活を強いられます。

マンデラはロベン島刑務所に収監されました。この牢獄でマンデラは重労働を課せられ生活は過酷を極めました。その間、母や長男が死去しますが葬式に出席できませんでした。1982年にはケープタウン郊外のポルスモア刑務所に移送され、環境は改善されたものの釈放には至りません。

彼は厳しい獄中生活の中でも南アフリカ大学の通信課程を1989年に修了し、法学士号を取得しました。マンデラの不屈の姿勢は解放運動の象徴的存在とみなされるようになり、全世界から釈放が求められるようになっていきました。

遂にデクラーク大統領は、1990年2月にANCの合法化とマンデラの釈放を決定しました。翌1991年にはアパルトヘイト政策に係る法律が撤廃されました。

アパルトヘイト政策の撤回が決まりましたが、長い分断の結果、南アフリカは新憲法制定にあたって各勢力が対立していました。暴動再燃の危険が南アを包みます。1993年4月には南ア共産党書記長クリス・ハニが射殺される悲劇が発生します。

全土に緊張が走りました。マンデラは「我々の自由を獲得するために団結しなければならない」と民族融和を説きます。27年の獄中生活でマンデラは、攻撃的なアプローチでは目的を達成することができないことを悟ります。「平和の力が暴力の力をはるかに上回る(マンデラ著『ネルソン・マンデラ 私自身との対話』285頁)」ことを知ります。

1994年4月に南ア史上初の全人種参加選挙においてANCは過半数を占め、マンデラは大統領となりました。マンデラは南アの融和・統合のために働きますが、1999年の大統領任期満了に伴い、高齢を理由に政治の世界から引退しました。

引退後もマンデラの名声・人気は高く、北アフリカ西沖合にあるカーボベルデ共和国は2005年に開港した空港名をネルソン・マンデラ国際空港と名付けました。また、2012年には南アにてマンデラの肖像画が用いられた新紙幣が発行されました。

マンデラは2013年12月、95歳の長命で死没します。南アフリカでの追悼式に世界各国から弔問客が参加しました。式典のVIP席ではオバマ米大統領とラウル・カストロキューバ議長が握手をし、その後の両国の国交回復に向けての一助になりました。

以上、今週の歴史小話でした!

歴史勉強会について、4月上旬のスケジュールを以下のとおりご連絡します。

4月4日(火)19:15~20:45@銀座「キリスト教基礎・入門」

4月6日(木)19:15~20:45@銀座「徳川幕府成立から学ぶ」

4月8日(土)14:15~16:00@六本木「ナポレオンの栄光と没落から学ぶ」

4月12日(水)19:15~20:45@銀座「ニュースの背景にある歴史を学ぶ(東アジア)」

参加希望者は、以下URLからお申込みください。

https://form.os7.biz/f/909787e6/

その他の日程については、決まり次第パンフレットの形で纏めてご連絡致します。3名以上お集まり頂いたら、個別に勉強会を開催させて頂きます。ご要望ある場合は下記連絡先にご連絡ください。

宜しくお願い致します。

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発行人:李東潤(りとんゆん)

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