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あの頃ぼくたちはお店で音楽を買っていた。

わたしは、音楽がすきだ。

そして、音楽を好きなように、CDショップも大好きだった。


これは、なんの学びもない記事であること請け合いなのだが、もし、あなたがわたしと同世代もしくはわたしより上の世代ならば、「懐かしい」という感想くらいは、抱いていただけるかもしれない。

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Appleが音楽のサブスクリプションサービスを2015年に開始して以降、わたしは完全にお店に音楽を買いに行かなくなった。

それから今に至るまで、Apple musicからSpotifyへ移行はしたが、それ以外に大きな変化はない。

ただ、わたしが音楽に出会って今まで、音楽の再生方法には度々大きな変化があった。

音楽の再生方法に革新が起こるたびに、その進化に感動し、感謝してきた。


CDプレイヤーがipodになり、
Apple storeで曲を買えるようになり、
youtubeでミュージックビデオを見れるようになり、
Apple musicで音楽は聴き放題になった。

不便さはひとつひとつ解消されていき、簡単に好きな曲を聴けるようになっていった。
今では、聴いた曲の傾向から、次に気に入りそうな曲のおすすめまでしてくれる。


それと同時に、かつてわたしにたくさんの音楽との出会いをくれていた場所は、気づけばすっかり、その姿を見なくなってしまった。

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平成生まれのわたしにとっては、小さい頃に持っていた「北風小僧の寒太郎」のカセットテープが、はじめて音楽を意識的に聴いた経験だ。

子供用のカセットプレイヤーは、カセットを入れてボタンを押せば、スピーカーから音楽が流れた。

この時の私には、音楽は親から与えられるものであって、買うという概念さえまだ無かったが、持っているカセットテープの中には何度も聴きたくなるものがあって、それを聴くととても楽しくなるということを感じていた。

少し成長すると、ラジカセ(ラジオカセットレコーダー)の録音機能を使うようになった。
カセットテープに音声を吹き込んで、はじめて再生される自分の声を聞いてとても変な気持ちになったり、
ラジオで紹介された曲を、再生されると同時に録音したりしていた。
そのころの家の壁には、母がラジオで録り貯めたカセットテープがたくさん並んでいた。


はじめて自分のお金で買った音楽は、CDの中に入っていた。
小学生の時だった。

CDを買ったのは、本屋さんの隣に併設されたCDショップだった。
TVの音楽番組で知った日本人歌手のCDが欲しくて、お小遣いを握りしめ、ドキドキしながらお店に買いに行った。

CDショップは、当時のわたしにとって、なんだかとても大人な場所だった。
知っているものはほんの一部だけで、見渡す限り知らない人たちの知らないCDが並んでいた。
目的のCD以外については、なんの知識もなかった。

売上チャート順の陳列があることや、
アルファベット順に海外アーティストの作品が並んでいること、
視聴機器で試し聞きができること、
ジャンル別に分類されていることなどを知るのは、
もう少し成長してからになる。

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わたしは、CDショップが大好きだった。

好きな曲と出会うために、
好きな曲をもう一度聴くために、
好きな曲を買うために、お店に行っていた。

それは、今思えば、とても不便だったけれど、
お店の人が作った紹介文や、
選りすぐられて試聴機器に入っている作品、
お店が力をかけた陳列などから、

宝探しをするような感覚だった。

あの頃のように、だれかのおすすめの音楽に出会えて、音楽を聴くために足を運べるような場所を、私は今も町中に探している。

そこには、音質の良い大きいスピーカーが置いてあって、時間帯や、季節や、天気によって、
いろんなジャンルの音楽が流れる。

いろんな国の流行も知れるし、めちゃくちゃマニアックな曲も聴ける。

ただ、きっと、ジャズが流れる割合がすこしだけ多い。

そんな場所をいつか自分で作れたら、なんて考えたりする。



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ぼやき。


CDショップを好きだったように、小林克也さんのベストヒットUSAも大好きだった。

曲だけでなく、歌手やバンドの人にも焦点を当てて小林さんが語ると、わたしはたちまちその歌手のファンになってしまうのだった。

ベストヒットUSAが収録されたDVDとか、発売されないかなあ。。

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