見出し画像

鷗外の食卓(翻訳篇) 11 『聖ニコラウスの夜』 カミイユ・ルモンニエエ

 皆が皿を出す、婆あさんが盛る。ドルフは自分の皿を手元へ引いて、丁寧に嗅いでみて、突然こぶしで卓を打つた。「や。リイケ、どうだい。すてきだ。臓物だぜ。」秘密は牛の心臓、肝臓、肺臓なんぞを交煮まぜににしたフランデレン料理であつた。

 爺さんが云つた。「王様は臓物を葡萄酒のソオスで召し上がるさうだが、ネルラが水で煮るとそれよりも旨い。」

画像1

『聖ニコラウスの夜』カミイユ・ルモンニエエ 森林太郎訳

出典 えあ草子・青空図書館 青空文庫

これで、あなたもパトロン/パトロンヌ。