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『認知資源』どう使う

最近、認知資源(注意資源)が気になっています。

認知資源とは、心理学界隈の用語として
『注意や思考、判断を行うための脳が使える資源(エネルギー)』
と言われるもの。

マネジャーとして、プレイヤーとして、ときにプロボノ活動など、ミッションが増えると、自身の認知資源の使い方も大きなテーマです。

認知資源は、概念的なものであり、例えば、Aさんの認知資源は「100」、Bさんは「80」といった感じで定量的には測れません。

東京未来大学の岩崎講師によると、人の認知資源は有限であり、認知資源が減ってくると注意力が散漫になったり、疲労したりするもの。すべてを丁寧に対処しているとなくなってしまうが、休息や睡眠により回復する、とのこと。

認知資源はバッテリー

認知資源は、充電型のバッテリー

そう例える、産業カウンセラー協会の認知資源の記事がわかりやすい。
(※本note内の用語を統一するため、注意資源を認知資源と表記)

認知資源の特徴として
・「注意を向けるたびに消費される」
・「分電できるが、総量は変わらない」

などがあげられます。

「注意を向ける」とは、「何かを考える」ことです。

例えば、集中している案件の途中で、別の仕事のことを考えたり、ふと今日の昼飯はどこに行こうか、と考えたり。
ちょっとした「考える」作業でも脳のエネルギーは消費されていく。

気づかないところで、スマホのバッテリー残量が減っていく、そんな感じかもしれません。

また、「総量は変わらない」ので、マルチタスクをすれば、集中力が分散する。例えば、1つのプロジェクトに集中するよりも、複数のプロジェクトを掛け持ちすれば、やはり一つひとつのプロジェクトの精度が甘くなります。

認知資源の節約

認知資源の総量が決まっているとしたら、限りあるバッテリーをどう有意義に使うか、が大事。

(頭では理解していても、スマホのニュースを流し読みしてしまったり・・反省。。)

よく聞く話ですが、ジョブズが黒いタートルネックを、着用していたのも「服装を考えて選ぶ」時間を減らしていたもの。

また、何かのテレビで、デザイナーの佐藤オオキ氏が、朝食か昼食かを、同じ店で同じメニューを選ぶ、と話していたのが印象的でした。

当時、「クリエイティブな人が、日常に変化を求めないのかな」と思いましたが、認知資源の考えを理解すると、普段の生活では、脳に負荷をかけない、という理由がよくわかります。

今までと違う環境のほうがアイデアが出る、という話をよく聞きますが、自分の場合はまったく逆です。同じことを繰り返すのがすごく心地よくて、同じところで昼ご飯を食べて、同じところに犬の散歩へ行って、同じ喫茶店に行って、同じものを飲む。ルーティン・ワークのリズムを守り、できるだけ変化を減らす努力をします。
 なぜなら、変化というのはストレスを生み出すものでもあるからです。

NIKKEIリスキリング「「面白がる」で問題解決 デザイナー佐藤オオキの発想」

認知資源の節約として、ルーティン化して考える時間を減らす

という方法がありますが、自身の認知資源をどう使うか、を考えるとき、人のルーティンは参考になりますね。

中小企業の経営者の認知資源

話題が変わり、中小企業の経営者の話。

これまで接してきた中小企業の経営者の方々は、本当に忙しい方が多い。

もちろん組織の規模の大小はありますが、中小企業(特に小規模企業)の場合、経営者が何役も兼ねています。

金融機関との交渉すれば、製造現場に人が足りなければ、機械も動かす。
顧客からのクレームなどイレギュラーな事案が起きれば、その対応に追われる。などなど。

「マルチタスクはすべきではない」と言われても、現場を回すためには、そんな正論を聞いている余裕がないことも理解できます。

とはいえ、日々の仕事に追われてしまい、優先度の高い課題が後回しになったり、本来じっくり考えるべきものがスルーされたり・・

結果として、緊急度は低いが、重要な課題(例えば、中期計画の作成、従業員の人材育成、新規顧客の獲得など)に手を付けず、じわじわと企業の力を失っていく・・のは残念です。

そんな経営者をみると、中小企業の支援者としては

・経営者の認知資源には限界があること
・使える認知資源に優先順位をつけること
・日々の業務は、なるべくルーティン化させること

などに気づいてもらうことも大きなミッションの一つかもしれません。
経営者本人が、気づきにくいからこそ、外から見える人が、伝える意義がありそうです。

「社長、取り組まなければならない、本当の課題は何でしたっけ?」

社長の今の時間の使い方(認知資源)を聞きながら、アドバイスというよりも「問いかける」感じで伝えてみようと思います。


おわり。