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濱帯プロジェクト - 染 -

横浜の伝統技術「染」

濱帯は横浜で培われた技術を活用して作りますが、今回は「染」について書きます。
さて、横浜の名産品としてシルクスカーフが挙げられますが、皆様はご存じでしょうか?横浜の地場産業から生まれたシルクスカーフ、ブランド化もされている名産品なんです。

『横浜スカーフ』とは、世界最高水準の製版、染色、縫製の技術で作られているシルク製品のブランドですが、特に捺染技術(プリント技術)は120年の歴史がある伝統技術だと思います。

細かく言えば、横浜スカーフの捺染技術とは異なるのですが、濱帯も横浜で培われた染技術を活用して作ります。

濱帯の展開について

濱帯は「さらしもめん」を使った無地の帯と、アパレル用の生地を使った「カラー」展開を予定しています。

カラーについては、当初さらしもめんをずぶ染することを考えていましたが、移染(色移り)の問題が立ちはだかります。
ためしに、ずぶ染したさらし生地を湿らせて無地の生地にこすりつけてみたところ、移染してしまいます。また、ぬるま湯につけてみたところ、桶のお湯がみるみるうちに染まっていきます。

移染の問題

抱っこやおんぶは親子が密着しますし、子どもは体温が高いので汗ばむことが想定されます。そうなると帯の色がパパやママの白Tについてしまう…これでは使えないですよね。
一般的に「手ぬぐい」はさらし木綿をカットして注染や捺染などで柄をつけますが、その多くに「色落ちがあるため単色洗いをしてください」という注意書きがあります。
染め物としては致し方ないことなのですが、濱帯はこの問題をクリアしたい。

また、さらしと同じ小巾生地で様々な色に染めたモスリン生地がありますが、赤系など一部の色にはアゾ染料が使われています。特定芳香族アミンを容易に生成するアゾ染料は、やはり避けたい。

また、抱っこやおんぶひもとしても使える1枚帯として、厚手の生地はふさわしくありませんし、綿100%で薄手でしなやかな生地、そこに環境にやさしいプリントをする、これが濱帯の目指すところです。

環境にやさしい染色方法

代表的な和の染色方法に「捺染」や「注染」、「ずぶ染」などが方法があります。このうち、横浜のシルクスカーフやハンカチに使われている染色方法として有名なのは「捺染」です。
捺染は1色につき1つ型を作り、型の上に流した染料をヘラを使って生地に刷る染め方です。捺染は生地の裏側までは抜けないため、表と裏と違う見え方になります。

工房での作業(顔料)

一般的な手捺染は染料捺染と呼ばれるもので、捺染後に蒸すことで染料を固着させ、余分な染料と糊を落とすために水洗いを行います。かつて横浜で捺染が盛んだったころは、市内の大岡川や帷子川沿いに捺染工場が集中していて、水洗いで川の色が赤や青に変わったそうです。その後、共同で利用できる水洗工場が建設され、川で水洗いをすることはなくなりましたが、水洗は大量の水を必要とするため、水道料金や環境の問題等の理由から、多く捺染工場が横浜から移転し、現在は市内で水洗加工ができるところはほぼ無いのではと思います。

染料捺染は美しい色合いが表現でき、生地の肌触りや風合いが良く仕上がるのがメリットですが、上記のように水洗の問題やコストの問題があります。
濱帯は高級スカーフとは異なり日常品なので、高価なものにはしたくない。
そこで検討したのが「顔料捺染」です。

顔料捺染とは

型を作りヘラで生地に刷るところは染料捺染と同じですが、水洗の必要がないのが大きな違い。染料を流す必要も、蒸す工程も不要なため、人と環境にやさしいとも言えます。

ベーキング

蒸す代わりに、顔料捺染ではベーキング(高温乾熱処理)という工程があり、この工程により染料や樹脂加工剤が生地に固着します。

顔料プリントは生地の表面に染料が固着するため、アイロンをかけても大丈夫?と思われる方もいるようですが、濱帯に使う顔料はアイロンもOK。
さらに、顔料捺染したあとの生地を試験機関で検査したところ、ホルムアルデヒドも基準以下。乳幼児の基準は0.05以下と設定されていますが、0.01以下という結果が出ています。ホッ。

また染料捺染や抜染はP下と言われる晒生地に加工する必要がありますが、顔料捺染だとさまざまな生地に柄を乗せることができるのも特長です。
洗濯堅牢度の高い生地を選定することで移染の問題も解決でき、カラーバリエーションも可能になります。楽しみです。

お決まりのポーズで。

捺染の問題が解決しつつあるところで、濱帯プロジェクトの要、縫製会社のみなさんとパシャリ。これは染め無しで作ったサンプルです。

一番奥に立つことで小顔効果を狙うがそれでも大きい

帯を皆で持って撮影するのがちょっと趣味になってきました。
なんか一体感を生むのですよ。私だけ感じているのかもしれませんが。

濱帯プロジェクトに共感いただける方がいらっしゃいましたら是非一緒に写真撮ってください 笑
この帯をみんなで持つ画像、たくさん集めたいです!(←コレクター)

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