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装画『高卒程度公務員 直前必勝ゼミ』-メイキング

『高卒程度公務員 直前必勝ゼミ 4年度 別冊受験ジャーナル』
刊:実務教育出版
発売日:2022/06/13
デザイン: 山崎幹雄デザイン室

装画を担当いたしました。

今回のお仕事は
2019年から約1年かけて5冊ぶんの装画を担当した『受験ジャーナル 特別企画』
2020年、2021年の『高卒程度公務員 直前必勝ゼミ』
から継続してご依頼いただけました。


1:ご依頼

・イメージテーマ:「未来」や「将来の夢」
 前回からの続きものっぽくするか、新しい展開にするか?

・読者は主に高校3年生~20代前半の方(男女比はほぼ1:1)
・上部8cm程度、下部3分の1程度のスペースに文字情報が入る
・タッチの指定は特になし(宮崎さんのお好きなタッチで)

・B5の装画を1点
・納期:ラフ提出まで約3週間、ラフから納品まで約1週間

2020年で主役っぽいポジションにいた女性が
→2021年で遠景に登場し、主役の青年と手を振り合っています。

前作・前々作で続きものっぽくしていたので、「来年も担当できたら嬉しいなぁ〜」と思ってはいたのですが具体的にこうしようという展望があったわけではなく。
担当編集さんのアイディアも参考にさせていただきつつ、考えていきました。

2:ラフスケッチ(約3週間後)

とてもラフ。
タイトルはまわりは「ざっくりこれくらいの範囲に文字が入る」という目安。

・メインカラーは黄色で、差し色にピンク。明るい雰囲気に。
・メインキャラクターは浅黒い肌でロックスヘアっぽいかんじ。
 花籠を積んだ自転車に乗っている。本番はもっと華やかにする予定。
・画面中央奥のピンク髪の人と犬が前回のキャラクター。
 犬が柵の隙間から顔を出して、自転車の女性を見ている。
・背景の人物たちにもピンクを入れる予定。

前回の装画を知っている人にはなんとなく繋がりを感じさせつつ、
これからどんどんバトンタッチしていくように毎年ちがう人物が登場するイメージを持たせられればおもしろいかも、と。

自転車で走っているver、マスクを外して一息ついているver


3:フィードバック(約1週間後)

自転車の位置などいくらか調整したほうがいいかな、と思っていたのですが特に修正指示はなく進みました。
いつもすごく自由に描かせていただけて本当にありがたいです。
(しかし今回はラフの提出がギリギリになってしまって申し訳なかったです…)


4:納品(ご依頼から約1ヶ月)

前2冊がステイホームを意識していたので、
今年は開放感と日差しを感じさせる構成にしました。
背景には盲導犬を連れた男性、ジョギングしているおじいさん、妊婦さんと子供…など、いろいろな人が行き交う様子を。
公務員さんは様々な人と関わるお仕事だと思うので、毎回いろんな人を描きたくなるのです。
明るく活動的なかんじの女性にしたいなー、と。
グラサンはピンクと黄色のグラデーションです。お気に入り。


5:完成

前年の号と並べるとこんなかんじ。
写真だとよくわからないけど納品したデータより濃い色になっています。
2021年の彼と犬。
2022年の彼女とは視線が合っていないので、もう少し繋がりを持たせたくて、自転車の鍵にピンクの犬のキーホルダーをつけてみました。
自己満足だけど、気づいてくれる人がいたら嬉しい。


今回のイラストを制作していたのは、ウクライナ侵攻が始まって少しした頃でした。長引くコロナ禍で鬱々していたところに信じがたい事態。しかし自分にできることもあまりなく、精神的にしんどかったです。
なので、(もともとこのシリーズはそういうオーダーなのですが)より強く「明るく希望を感じる絵が描きたい」と思いました。
ちょうどこの少し前に春のお散歩でミモザや何やらを見て楽しくなったので、鮮やかな黄色とお花で。
前年がダーク寄りな雰囲気の青を使っていたので、パッと反対色でより明るく見えるかなと。

完成品はタイトルが青い色で入ったので、図らずも「上が青・下が黄色」のウクライナカラーになりました。
(背表紙も青から黄色へのグラデーション)
お仕事中にはこちらの裏話を一切お伝えしていなかったのですが、デザイナーさんもこの配色にはウクライナ支援の気持ちをひっそり込めておられたそうです。
当時はこんなに長引くとは思っておりませんでしたが、本当に早く終息してほしいと祈ります。

2020年・2021年に比べると人物の表情もしっかり見えているので、楽しげな雰囲気にできたと思います。
受験生の皆さんへささやかな応援ができたら幸い。



サポートしていただいた売り上げはイラストレーターとしての活動資金や、ちょっとおいしいごはんを食べたり映画を見たり、何かしら創作活動の糧とさせていただきます。いつも本当にありがとうございます!!