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「聖霊降臨祭のコロンビエ」

2022年のペンテコステ(聖霊降臨祭)
西方教会で6月5日、東方教会で6月12日
ペンテコステはクリスマス、イースターと合わせてキリスト教「三大祭」のひとつなんだそうで。
(「パントコート」と表記する場合もあるらしい。国によって読み方が違うのかな)

ペンテコステ(聖霊降臨祭)
復活祭(イースター)から50日目の日曜日

ペンテコステとはギリシア語で「50番目(の日)」の意。
キリストの復活・昇天後、集まって祈っていた120人の信徒たちの上に、神からの聖霊が炎のような舌の形をして降ったという日。

五旬節、五旬祭ともいい、ユダヤ教の「7週の祭り(シャブオット)」にあたる。

コロンビエとは?

コロンビエ(Gâteau colombier de Pentecôte)
アーモンド風味の生地にフルーツの砂糖漬けを焼きこんだ、フランスの伝統菓子。中に入れるフルーツは南フランス名産のメロンやオレンジが多いらしい。
円形もしくは楕円形で作られ、表面を糖衣で覆い、ピンク色のアーモンドで飾る。

コロンビエとはフランス語で「鳩小屋」という意味。
中に「白い鳩(コロンブ)」の形をしたフェーブを入れてあり、この鳩が当たった人は、一年以内に結婚できるとも言われている。
もしくはマジパンで作られた白い鳩が飾られたりもする。
白い鳩は平和や聖霊の象徴。

…と、日本のインターネットで調べたらこんなかんじでしたが、Gâteau colombierなどで検索したら糖衣でなくカラフルなアーモンドで表面をぶわーっと覆ったケーキがヒットしたり。現代の実態はどんなかんじなんでしょうね。
今回のイラストでは個人的にかわいいな〜と感じた楕円形を描いたつもりなのですが、側面も見せたらふつうに円形のケーキっぽくなってしまった。

そして
ガレット・デ・ロワ
と同じく「フェーヴを入れる」ケーキというのがとても気に入り。あの風習、楽しくて好きなんです。

糖衣をかけたケーキの上にはマジパン(アーモンドで作られたペースト)の鳩、
ケーキの中には陶器製の鳩。
フェーブを当てた人は1年以内に結婚できる…というのも、時期的にジューンブライドを連想してしまうかも。

しかしガレット・デ・ロワといいシムネルケーキといい、アーモンドを使ったお菓子が多いですね。ヨーロッパでよく生産されていて美味しいから、だけでなく、旧約聖書のモーセが持つ「アロンの杖」がアーモンドだったとか…キリスト教と縁が深いナッツだからでしょうか。

また、イタリアの復活祭(パスクア)には「コロンバ」という伝統菓子があるそうです。

他にも卵を殻ごと焼き込んだ「カザティエッロ」とか「スカルチェッラ」とか。チェコでは「ベラーネック」という羊型の焼き菓子を焼くとか、フランスにも「アニョー・パスカル」という生贄の仔羊を模したお菓子があるとか。
おもしろいな〜と思いました。

ペンテコステの地域差はこんなかんじらしい↓

イタリア
 …聖霊降臨の際の「炎のような舌」を象徴して式中にバラの花びらをまく
フランス
 …「激しい風のような音がした」ことを象徴して式中にトランペットが吹かれる
ドイツ
 …牝牛に花冠をつけ引き回す(これは古くからあった春の収穫祭と結びついたものらしい)


このシリーズは基本的に「真上からまんまるの食べ物を描く」法則があったのですが、そろそろ違う形のも描きたいかんじ。


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