見出し画像

夏の短怪談②

インドネシアのある島では祭事の際にリクガメを食すと言う。

その島の住民は「長寿の動物」である亀肉を食べることで亀の長寿が継承されると信じている。一見すると迷信じみているが、常に栄養が不足している時代に亀肉の滋養強壮効果を考えるとこれはあながち迷信とも言い切れないかもしれない。ちなみにこのように季節のお祝い等に何かの祈願と共に食事を摂る行為を行事食と呼ぶ。

------

Y県の廃村となったとある集落で、権力者の家屋でもあった建物を解体していた際に地下から大量の人骨が発掘された。警察によると、200〜300年以上の前の遺体であり、事件性は無いと判断されたが調査を進めるうちに不思議な点がいくつか見受けられたという。

一つ目は遺体が解体されている点。警察の発表では30人ほどの人骨だろうと判断されたが、五体満足な遺体は一つとして無かったそうだ。また、死後に骨に直接付けられたと思われる奇妙な傷が散見されたという。

二つ目は全て還暦を超えた老人の遺体だということ。姥捨の習慣があったのではという噂が近隣の地域では流れたが、山に捨てるならともかく家の地下、しかも権力者の家屋に捨てられているのは説明がつかない。


思うに、「年老いた人間」も立派な「長寿の生き物」と考えた者がいたのではなかろうか。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?